第29回 全労協大会の成功に向けて / 全労協新聞 2017年9月号
全労協
http://www.zenrokyo.org/
全労協新聞
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より
第29回 全労協大会の成功に向けて
労働者・市民の怒りを踏まえ
立憲主義の野党共闘をつくりだし
安倍政権打倒に向けた大衆運動を!
安倍政権は経済の好循環のために、「岩盤規制」に穴を開け、労働者・市民の生活を向上させるためにアベノミクスを推し進めるとしてきた。
それが高支持率を維持し、昨年七月の参議院選で自民党は勝利し、「改憲派」が衆参両院で「改正」発議に必要な三分の二以上の議席を占め、「安倍一強」といわれてきた。そしてこの高支持率を背景に次々と悪法を成立させてきた。多くの国民が懸念を抱く「共謀罪」法なども、参議院の委員会採決を省略して成立させてきた。
それが東京都議選での惨敗で、大きく揺らいでいる。都議選における自民党惨敗の要因として「森友学園」への国有地売却問題や「加計学園」の獣医学部新設問題、防衛省・自衛隊の日報隠蔽等々がいわれている。確かにこれらは惨敗の要因として作用したことは間違いのないことではあろう。しかし、きっかけはともかくとして、一気に支持率を低下させた最も大きな要因は、安倍政権が推し進めるアベノミクスが、経済の好循環の実感がないばかりか、一部富裕層や大企業のための政策であり、深刻な格差と貧困を拡大させた。そしてその破綻が誰の目にも明らかとなっている。こうした不満や怒りが有権者のなかに底流としてあったということだと思う。
破綻した
アベノミクス
この受け皿となったのが政治団体「都民ファーストの会」。この政治団体が「国民ファーストの会」として国政の場に出てくるといわれているが、しかしこの「人々」の多くは、特定秘密保護法、安全保障法制、共謀罪等々に賛成してきた、いわば自民党の補完勢力である。「名は体を表す」というが、歴史の事実が示しているように、これはやがて「体を名に会わせる」政治勢力となる危険性を孕んでいると考えられる。
一方安倍政権は、支持率凋落の中で連合を取り込もうとした。「高度プロフェッショナル制度」について、連合は修正を政府に申し入れ、政府は連合の修正要求を受け入れ、経団連も含む「政労使合意」を経て秋の臨時国会に労基法改正案を出す予定だった。しかし、傘下の労働組合から異論が噴出して撤回に追い込まれた。労働者の利益よりも企業利益を優先させては労働者の信頼を失う。
現在、民進党の代表選挙(八月二十四日現在)が行われている。この政党には様々な潮流が混在しているといわれているが、労働者・市民のための政治に変えていく役割に期待する。
雇用破壊の
「働き方改革」
秋の臨時国会が九月二十五日からの同月最終週に召集されると伝えられている。八月に発足した第三次改造安倍内閣は「経済再建第一」を宣言し、その中心が「働き方改革」の実現であると表明している。「人づくり革命」などといっているが何も新しいことではない。「働き方改革」は「働く人の立場に立った改革」であると説明しているが、要は労働生産性を向上させて、企業が稼ぐ力を高めるための「働かせ方改革」であることに変わりはない。
臨時国会では安倍政権が看掲げる高度プロフェッショナル制度や同一労働同一賃金など、「働かせ方改革」に関わる労働法制関連法案の審議が最大の焦点となる。そしてさらに憲法「改悪」の策謀である。
いま政財界は「国」そして「労働者」のかたちを大きく転換させようとしている。われわれ全労協の任務は明確である。雇用を破壊し、暮らしを壊し続ける安倍政権に対して、労働者・市民の怒りを踏まえ、格差と貧困をなくすために、具体的に運動を広げ強めていかなければならない。
そして政治的には、立憲主義を中心とする野党共闘をつくりだし、安倍政権打倒に向けた大衆運動の大きな高揚をつくりだしていかなければならない。
(金澤壽議長)