国鉄分割民営化から30年 / 全労協新聞 2017年2月号

国鉄分割民営化から30年 / 全労協新聞 2017年2月号


全労協
http://www.zenrokyo.org/

全労協新聞
http://www.zenrokyo.org/simbun/sinbun.htm
より



国鉄分割民営化から30年

格差と貧困を深刻化させる
安倍政権の働き方改革

労働者の権利を守る労働組合の闘いを!



一九八七年四月に国鉄が解体され、JRが発足して三十年を迎える。分割民営化から十年経って、時の総理大臣だった中曽根康弘氏は、「国鉄民営化は、国鉄労組を崩壊させました。国鉄労組の崩壊は総評の崩壊、つまり社会党の崩壊につながります。だから国鉄改革は、日本の基盤に大きな変化を与えたんですよ。もちろん私はそれを認識して実行に移しました。私が幹事長をしていた時、国鉄労組が八日間のゼネストをやった。私は徹底的に戦ってストを破った。そして二〇二億円の損害賠償を要求して以降、法廷闘争となった。その時以来、国鉄の民営化と総評・国鉄労組の崩壊を狙っていたのです。」などと、雑誌やNHKのインタビューなどで公言した。そして国鉄分割民営化から三十年経った今、中曽根元総理らの企図したとおり、労働運動が弱体化させられ、労働者の権利を守る労働組合が激減し、労使協調型の労働組合がつくられた。その結果、長時間労働による過労死や過労自殺、格差と貧困などが深刻な社会問題となるなど、雇用や暮らしを壊し続けている。

こうした中で安倍政権は、働き方改革を「最大のチャレンジ」と位置づけ、「働き方改革実現会議」を発足させた。私はこれは、かつて中曽根元総理大臣が「戦後政治の総決算」と述べ、きたる資本の世界的競争に打ち勝つために戦後資本主義を再編強化し直したのと同様に、安保法と並んで新たな日本資本主義の再編成だと思っている。

この会議で安倍首相は、「長時間労働の是正、同一労働同一賃金を実現し、非正規という言葉をこの国から一掃する」と表明した。が、しかし結局、政府・財界がやろうとしている「働き方改革」は、「新自由主義」の下では企業の利潤を増やす方向になる。したがって「新自由主義」の下では「貧困と格差」が増大する。

そうした意味で私はこの政府主導の「働き方改革実現会議」を、安倍政治に対する労働者の不満や怒りを吸収しながら、国が軍事、外交を一元的に統括するのと同様に、「働き方」や賃金を、この「働き方改革会議」で統制・支配していく機関に思えてならない。

いま、新自由主義・グローバリゼイションといわれた世界資本主義は、一層矛盾を深め、動揺している。世界的な規模で格差と貧困が進行し、政治に対する労働者、民衆の不満が怒りとして爆発している。ただそれがポピュリズムを生みだし、表面上はどうあれ、イギリスのEU離脱やアメリカのトランプ大統領の誕生などがそれを示している。

国鉄分割民営化から三十年、安倍政権の労働政策は、ヨーロッパにおける右派政党の台頭やトランプ大統領誕生などと通底するものがあると思う。

全労協議長金澤壽)



2・17東京総行動


8:45 日本郵政
12:10 17けんり春闘経団連要請行動~
16:10 富士美術印刷
17:10 トヨタ東京本社



2・17集会

国鉄の分割・民営化から30年」それと闘った国鉄闘争を今後の教訓にするために

2月17日18時開場

会場
東京・新宿区立四谷区民ホール

呼びかけ人
金澤壽(全労協議長)、二瓶久勝(元国鉄闘争共闘会議議長)、坂口智彦(国労委員長)

連絡先
2・17集会実行委員会(国労本部内)