安倍政権打倒に向けた大衆運動の大きな高揚を! / 全労協新聞 2016年12月号

安倍政権打倒に向けた大衆運動の大きな高揚を! / 全労協新聞 2016年12月号


全労協
http://www.zenrokyo.org/

全労協新聞
http://www.zenrokyo.org/simbun/sinbun.htm
より



安倍政権打倒に向けた大衆運動の大きな高揚を!
地域・職場からの闘いで17春闘勝利へ!



大方のメディアの予想に反して、「移民を追い出して雇用を取り戻す」など、極端な排外主義と差別的な暴言をくり返してきた人物が次期アメリカ大統領に決まった。マスコミは「なぜトランプが勝ったのか」「トランプのアメリカが今後どうなるのか」と様々な方面からの分析を伝えている。トランプ氏勝利の背景は、アメリカの製造業労働者の実質賃金は過去約四〇年間上がらず、これに対し企業収益や株価が実質五倍近くにふくらみ企業や投資家は豊かさをたっぷり享受した。そのことが労働者たちの既成政治への不満や怒りとなって爆発したと。

日本においても今、ますます拡大する経済格差である。過労死や過労自殺、格差と貧困、介護離職など、働き方をめぐる様々な問題が深刻になっている。

そうした中で安倍政権は働き方改革を「最大のチャレンジ」と位置づけ、九月に「働き方改革実現会議」を発足させ、首相自ら議長に就いた。「実現会議」で話し合うテーマは九項目で年内にガイドラインを示し、必要な法改正にも取り組むとしている。主眼は大まかにいって①労働生産性を向上させて企業が稼ぐ力を高める。②多様な働き方を選べるような労働環境を整備する。安倍首相は「働く人の立場に立った改革」と説明し、そして「働き方改革は、社会問題であるだけでなく、経済問題です」と強調したそうだ。

あたかも労働者が多様な働き方を選べるかのようなまやかし。賃金アップをえさに企業の稼ぐ力だけを高める生産性向上に駆り立てる。

安倍首相は、二〇一七年春闘での賃上げについて「働き方改革実現会議」で「少なくとも今年並みの賃上げを期待している」と述べたと伝えられている。これに対して、ある産別労組の幹部は、首相の要請によって「賃上げを要求しやすい状況になった」と述べたと。これが本当だとしたら「ある産別労組の幹部」は、労働基本権を官邸に預けたということにならないか。アベノミクスの行き詰まりが指摘されるなか、なぜ今、働き方改革なのかが見えてくる。

野党共闘の再構築を

これは朝日新聞に掲載された記事である。「子どもの頭をなでたり、涙を流す家族の肩を抱いたりして、別れを惜しむ隊員の姿が見られた」。昨年九月に強行成立させた安全保障関連法で「駆け付け警護」などの任務が追加され自衛隊部隊が南スーダンに派遣された。これが日本の平和と安全に寄与することなのか。平和な日本だからこそきる貢献があるのではないか。戦後日本は、憲法九条の下、専守防衛に徹して、海外で武力の行使はしないということが国際的な信頼をもたらしてきた。共同通信が十月に実施した世論調査では、駆け付け警護の任務付与に五七%が「反対」と答え、賛成の三一%を大きく上回っている。これは自衛隊員の任務の危険性や憲法との関係に対する危惧を示していると思う。

にもかかわらず、十月のNHK政治意識調査よると安倍内閣の支持率が、支持する五〇%、支持しないが三三%と支持するが大きく上回っている。これをなんとかしなければならない。

今日の時点では分からないがしかし準備しなければならない。来年早々の衆議院解散・総選挙が取りざたされている。そのために安倍政権打倒に向けた大衆運動の大きな高揚を労働者・労働組合がつくりだしていかなければならない。野党共闘の再構築も求められる。

大統領挙後、トランプ氏が最初に面会した外国の指導者は安倍首相だったそうだ。安倍首相にはトランプ氏のような過激な発言はないが二人に通底するものがあるのだろう。