安倍政権との全面対決に向けた大きな奔流を / 全労協新聞 2016年11月号

安倍政権との全面対決に向けた大きな奔流を / 全労協新聞 2016年11月号


全労協
http://www.zenrokyo.org/

全労協新聞
http://www.zenrokyo.org/simbun/sinbun.htm
より




安倍政権との全面対決に向けた大きな奔流を

生存権・労働基本権を柱に
労働者・労働組合の総がかり運動を!



 昨年九月、安倍首相は戦争法案の採決を強行して成立させ、労働者市民の大きな怒りを呼び起こした。ところが、自民党総裁選に無投票で再選された安倍首相は労働者市民の憤りを新たな幻想を振りまくことで支持を取り付けるためアベノミクス「新三本の矢」と称して新たな成長戦略を描いて労働者を欺いてきた。即ち、アベノミクスは異次元の金融緩和、円安・株高によって経済の活性化をはかろうとしたものの、グローバル大企業と一握りの富裕層に巨大な利益をもたらすばかりで、労働者市民には何らの恩恵ももたらされないばかりか、円安による輸入品の高騰によって生活は困窮し、日本の財務状況は更に悪化をしたのである。

 そして今、アベノミクス「新三本の矢」が描いた成長戦略である希望を生み出す強い経済(GDP六〇〇兆円)、子育て支援出生率一・八)、安心につながる社会保障(介護離職ゼロ)、はことごとく破綻し、七月参議院選挙を前に新たに『働き方改革』とスローガンに掲げて「長時間労働の規制」や「同一労働同一賃金」等、労働者市民には耳障りの良い言辞を使って貧困と格差に苦しむ労働者間を分断して、消費税一〇%引き上げを延期と「ウソとこまかし」を駆使して参議院選挙を勝利してきたのである。


アベ「慟き改革」で世界で一番企業が活躍しやすい国ヘ


 安倍首相は自ら座長を務める「働き方改革実現会議」を新たに設置し、担当大臣を設けて、官邸主導で進めるという。「長時間労働を止め、非正規労働という言葉を無くす」と大言壮語している。しかし、この真の目論見は継続審議となっている残業代ゼロ=過労死促進法案である労働基準法改悪案を取り下げようとしないことでも明らかなように、『企業が世界で一番活躍しやすい国』へむけて経済界の要望を受け入れ「働かせ方改革」にあることは明らかである。そのために労働者に幾ばくかの有利な条件を与える反面、経済界の要望を最大限実現させようというのである。

 九月二十七日(火)、「働き方改革実現会議」は第一回会合を開いた。安倍首相ほか一六人の委員には連合の神津会長が入っているものの、経営側から二人、その他に学者ら五人で構成される官邸が主導する会議体であり、官邸からのトップダウンによって問答無用と強行される危険性が大いに危倶されているのである。現に、厚労省内で検討会として開催されているのが「解雇の金銭解決制度」、労働政策審議会に係わる「有識者会議」等であり、ILO基準として確認されている公労使三者構成による審議会を破壊し、官邸主導によって政策を強行するシステムヘ変貌させられようとしている。


性別、国籍 雇用形態による差別を許さない


 全労協は「貧困/格差/差別」と闘うこと、『平和/護憲』を呼びかけ続けてきた。労働者の貧困、格差拡大は第二次安倍政権発足から急ピッチで進む憲法破壊、民主主義の破壊と同根である。安倍首相は人びとの基本的権利を認めず、労働者市民を国家に奉仕する「臣民」へと強制しようとしている。憲法を破壊して九条を葬りさり、弱者を切り捨てあるいは排除することによって「新たな戦前」に人びとをひきづり込もうとしている。このような安倍政権の目論見を許してはならない。労働運動・市民運動の総力は安倍政権の野望を打ち砕くために集中されなければならない。最低賃金の引き上げを非正規労働者の大巾賃上げ実現に結びつけられ、実効性をしっかり担保できる長時間労働規制につなげる闘い、そして、性別、国籍、雇用形態による差別を一切許さない闘いこそ求められている。改めて、職場地域の闘いを集約すると共に、様々な場所で様々に闘われている闘争を総がかりにまとめ上げ、安倍政権との全面対決に向けて大きな奔流を生み出すことが求められている。全労協はその一端をしっかり狙っていこう。