安倍政権と全労協は全力で闘う / 全労協新聞 2016年10月号

安倍政権と全労協は全力で闘う / 全労協新聞 2016年10月号


全労協
http://www.zenrokyo.org/

全労協新聞
http://www.zenrokyo.org/simbun/sinbun.htm
より



矛盾が深化拡大する
安倍政権と
全労協は全力で闘う



全国労働組合連絡協議会議長
金澤 壽



 「アベノミクス加速国会」と位置づける臨時国会は、「参議院において戦後最も安定した政治基盤を獲得」(内閣改造後の記者会見)の下で九月二十六日開会され、十一月三十日までの六六日間となる。

 改憲勢力が衆参ともに三分の二を占める今国会では、憲法調査会始動とともに、アベノミクスの失敗を糊塗する第二次補正予算成立とTPP(環太平洋経済連携協定)国会承認、介護保険法、無年金者の年金法改正等々か主な議題として審議される。

 一方、「安倍政権の最重要課題」と述べる働き方改革について、安倍改造内閣で「働き方改革担当大臣」を新設して、「最大のチャレンジは働き方改革だ」と宣言し、「長時間労働の是正、同一労働同一賃金を実現し、非正規という言葉をこの国から一掃する」と表明した。そのうえで「働き方改革実現会議」を設置し「働き方改革担当大臣」を任命、年度内に実行計画をまとめたいと述べている。これは労働行政(「働き方について」)を担う厚労省から「働き方改革実現会議」か「働き方について」を奪ったことにならないか。

 そもそも政府のいう「働き方改革」とは何か。ニッポン一億総活躍プラン(骨太の方針2016)では、「日本の労働者の約四割は非正規雇用であり、パートタイム労働者の賃金は正規労働者と比べると四割低い状況で、このような賃余格差を雇用形態にかかわらず、同一の労働に対しては同一の賃金を支給する『同一労働同一賃金』の実現に向けて、どのような待遇差が不合理であるかというガイドラインを策定する。また、最低賃金を引き上げていき、全国加重平均1000円にすることを目指す」として、(1)非正規雇用の待遇改善(2)長時間労働の是正(3)高齢者の就業促進の三点を働き方改革の柱にすると強調している。

 これに対して経営側は、同一労働同一賃金など、労働規制の強化に対する反発が強く議論の行方は分からないと伝えられている。「同一労働同一賃金」の検討は、低賃金故に働いても生活できない労働者が、安心して生活できる賃金を保障するということが前提でなければならない。また通常国会からの継続審議法案の「残業代ゼロ法案」とも「定額働かせ放題、過労死促進法案」ともいわれている、働いた時間にかかわらず成果で賃金が決まる労働基準法改正案がこの臨時国会で本格的に審議されようとしている。

 経済が最優先課題といって、国の経済成長のために、われわれの「働き方」を勝手に改革しようとしている。雇用を破壊し、暮らしを壊し続ける安倍政権に対して、安心して働き生活のできる社会の実現をめざす闘いを一層強めなければならない。

 国論を二分した、自衛隊の海外活動を大幅に広げ、集団的自衛権行使を可能にした安全保障関連法は、成立から九月十九日で一年が経過した。三月に施行された安全保障関連法に基づき、正当防衛や緊急避難以外に「任務達行のための武器使用」が認められ、「駆けつけ警護」も可能となった。この「駆けつけ警護」について、政府は、安全保障関連法に基づく自衛隊の新たな任務として南スーダンの国連平和維持活動に十一月から参加する方針で画策している。

 米軍晋天間飛行場の辺野古への移設計画をめぐっては、埋め立ての承認を取り消した沖縄県翁長雄志知事を国が訴えた訴訟で、福岡高裁那覇支部(多見谷寿郎裁判長)は九月十六日、国の主張を認める判断を示した。参議院選挙で安倍致権の沖縄政策を批判する民意が改めて示されたにも関わらす強硬な姿勢で工事再開を始めようとしています。また沖縄県東村高江周辺で進められているヘリパッドの移設工事で、これを阻止しようとする住民や支援者が暴力的に排除され、政府は強権的に工事を進めようとしている。

 巨額の国費を投じてきた高速増殖原型炉「もんじゅ」の廃炉が決まった。しかし福島の事故後も原発重要視は変わらず、原子力を「重要なベースロード電源」と位置づけ、原発の再稼働を進める「国策」は維持されている。

 今やアベノミクスそのものが日本資本主義の危機を現している。安倍政権が次々に繰り出す施策そのものか矛盾の深化拡大を表明している。これらの課題に全労協は全力で闘おう。闘ってこそ、先の展望か見えてくる。