第28回全労協大会成功に向けて / 全労協新聞 2016年9月号
全労協
http://www.zenrokyo.org/
全労協新聞
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より
第28回全労協大会成功に向けて
安倍政治に対抗する新しい大衆運動に
労働者・労働組合が立ち上がろう
全労協の第二八回定期全国大会が九月二十二日、二十三日の両日にわたって開催される。文字数の制約があって多くは述べられないので簡単に振り返ってみたい。
安倍首相は今年の一月四日に召集され、開会した第一九〇通常国会で、「未来へ挑戦する国会」と位置づけ、改めて一億総活躍社会づくりを強調した。そして安倍首相は、昨年秋、安保法制強行採決後打ち出した「新三本の矢」(「GDP六〇〇兆円」「希望出生率一・八」「介護離職ゼロ」)では、日本社会か活力を維持できるようにすると公言している。
しかし経済政策アベノミクスによる「成果の果実」は、一部の大企業や富裕層以外のわれわれ労働者、市民には落ちてこなかった。各種世論調査などでも「アベノミクス」に期待が持てず、しかも貧富の格差が広がっていると思うと六割近くが答えている。「相対的貧困率」は、米国より低いが、英国やフランス、ドイツよりも高く、OECD平均を上回る。これは「アペノミクス」そのものが格差と貧困をつくりだしているということである。実際、実質賃金は上がらず、個人消費は二年連続マイナス、子どもの貧困問題(子どもは生まれる環境選べない)など、労働者、市民の生活向上とはなっていない。結局、資本主義社会における経済の好循環の儲けは一部の大企業や富裕層に止まることになり、すなわちトリクルダウンなど幻想でしかない。
「社会保障の充実」については、医療や介護、年金、子育てなど国の支出を減らして国民負担を増やす一方で、自治体や各家庭にシフトする「社会保障プログラム法」(持続可能な社会保障制度の確立を図るための改革の推進に関する法律二〇一三年十二月十三日)を成立させている。これは「公助」よりも「自助」を主軸としたものであって、すでに一部は実行されていて高齢者の医療費自己負担が増えており将来への不安が高まっている。
立憲主義を
結集軸に
安保法制に対する世論は二分されている。三月に施行された安保法制に関わる国連平和維持活勣(PKO)に派遣する自衛隊への「駆けつけ警護」任務の追加や、米軍への弾薬提供など、後方支援を広げる日米物品役務相互提供協定(ACSA)改定案の国会提出も参議院選挙後に先送りされた。これは選挙を前にして世論の反発を避けたいという判断だったと思われるが秋の臨時国会には必ず出てくる。そして参議院選挙の結果、憲法改正に前向きな改憲四党が三分の二超となった今、自民党安倍政権の改憲発議への環境は整った。
いま、「安倍政治」に対抗するために、労働者、労働組合が果たすべき役割は何か。
立憲主義を結集軸に、個人や企業、地域間の経済格差をますます拡大し続けているアベノミクスとの闘い、秋の臨時国会で本格的に審議されようとしている労働基準法改正案に対する闘い、参議院選挙で民意が改めて示されたにも関わらず強硬な姿勢で進めようとしている米軍普天間飛行場の辺野古への移設計画、原発なしでも余裕があったこの夏の電力にもかかわらす、福島の事故を教訓としない原発重要視政策。こうした課題に対する労働者、市民の思いや不安と共鳴しながら幅広く運帯し、合意形成を図らなければならない。
昨年、連日国会周辺に各世代・職業を超えて結集し闘った。こうした大衆運動の高揚は新しい国民運動の萌芽だった。この大衆運動の高まりの中で「野党共闘」をつくり出しそれが今回の参議院選挙で一歩進んだ。
雇用を破壊し、暮らしを壊し続ける安倍政権、人らしく安心して働き生活のできる社会の実現をめざして、今こそ立ち上がらなければならない。次世代のためにもわれわれがその責任を負わなければならない。この闘いの中心に労働者、労働組合が立ち、こうした中でこそ、新たな政治の可能性が見えてくる。
(全労協議長・金澤壽)