福島を風化させないために / 全労協新聞 2016年7月号

福島を風化させないために / 全労協新聞 2016年7月号


全労協新聞
より


脱原発社会をめざして

女性委員会学習会

福島を風化
させないために

六月一日、福島在住カメラマン飛田晋秀(ひだしんしゅう)さんと福島で活動されている佐藤昌子さんをお招きし、原発事故から五年経った現在の福島について講演していただきました。参加者の大半が事故後の福島に入ったことがある中、それだけでは知ることができなかった事実が次々と報告されました。

特に印象的だったのは、子どものガン増加による問題点として挙げられた告知についての報告でした。

「いつ・誰が・どのように告知するのか」を慮らず、その子ども本人の前でガン告知をする無神経な病院対応には、海外からも批判が出ているそうです。大人ですら受け入れがたいガン告知をまだ信頼関係も築いていないであろう医師から突然告げられる残酷さには憤りを禁じ得ません。

原発さえなければ」こんなにもたくさんの子どもたちがガンにはならずにすんでいた筈、復興が進んでいた筈、これほどの帰宅困難者うつ病・自殺者はいなかった筈です。腐食がすすむ原発施設も、草ボーボーで放置されているフレコンバッグも、これから先の処理だけで途方もない年月と労力を必要とします。「復興」とは何か、今後、私たちはどうしていくべきか考える上で、今回の学習会で得た情報は必要な知識のひとつになったと思います。

その後の懇親会では、日頃の講演の様子や活動にかかる細々としたことまでお話いただきました。国外からも講演依頼があることに比べ、国内の、特に都内での開催が少ないとのこと。この学習会が一つのきっかけとなり都内での講演の拡大につながり、「福島の今」を広めるチャンスになればと思います。福島を他人事にせず風化させず現実に向き合っていきたいと思います。(渡辺香織)


飛田晋秀HP「福島のすがた」