全労協/ 労働者の共感結集し JAL不当解雇撤回へ / 全労協新聞 2015年12月号

全労協/ 労働者の共感結集し JAL不当解雇撤回へ / 全労協新聞 2015年12月号


全労協
http://www.zenrokyo.org/

全労協新聞
http://www.zenrokyo.org/simbun/sinbun.htm
より



直言
激論

労働者の共感結集し
JAL不当解雇撤回へ



「あなたには貢献できる場所がない」として整理解雇された日本航空の労働者(パイロット、客室乗務員併せて)一六五人の闘いが十二月でまる五年が経過する。いうまでもなく、日本航空の破綻の原因と責任は労働者にはない。

整理解雇という名で指名解雇された労働者にとってこの五年間はかつて経験したことのない過酷な年月だったはずだ。一刻の猶予もなく元の状態に戻し名誉を回復させなければならないのは言うまでもない。

二〇一〇年十二月二十七日に結成した「JAL国民支援共闘会議」はその声明で、解雇撤回闘争の「国民的意義」として、第一に解雇は「整理解雇四要件」に照らして「解雇権の濫用そのもの」であり、「『整理解雇の四要件』を確固として守らせること」が「全ての労働者の雇用にかかわる国民的な意義を持って」おり、また「ILO条約・勧告に照らして、世界に例を見ない人権侵害」でもあり、同時に「組合役員の排除を狙う不当労働行為ともなっている」と訴えた。

しかし整理解雇四要件は最高裁で確立した法理ではなく、その経営をわずか一年で目標を超える営業利益を挙げるまでに回復させた、稲盛和夫氏による「まず利益を挙げることを第一義とする」経営哲学を裁判所は高く評価した。

ILO条約・勧告については、国鉄労働者一〇四七人の解雇事件でもそうであったように、実態として強制力を持たない。どのように具体的な効果を持たせるのかはっきりさせる必要がある。世論を引き付けることに資するか、あるいは政府の関心をわれわれの方に向けさせることができるのかを具体的に検討しなければ単に原告を慰めるだけになるだろう。

そうした中で未だ「国民的」と言うほどその戦線は拡がっていない。

全労協は、直接的には日航の「解雇撤回・組合潰しは断固として許さない」闘いだが、この闘いは全労働者的課題であり、全国で苦闘している労働者の共感を広く結集し、この闘いを通して、護憲を柱とした労働戦線の再構築を目指しつつ、日本労働運動の再生を展望した闘いに発展させることが可能であると考えた。そしてこの間、「日本航空の不当解雇撤回をめざす国民支援共闘会議」に参加し、不法不当な整理解雇撤回に向けて全力で取り組んできた。

二〇一六年、JAL不当解雇撤回闘争は六年目を迎える。年明け早々に通常国会が開会され「一億総活躍社会」が議論され、そして安倍政権の労働法制改悪がさらに進められようとしている。これらの闘いの中心にJAL闘争がなければならない。

(金澤壽
全労協議長)