全労協/ 新たな運動につながった草の根の抵抗と闘う土壌 / 全労協新聞 2015年11月号
全労協
http://www.zenrokyo.org/
全労協新聞
http://www.zenrokyo.org/simbun/sinbun.htm
より
コラム疾風
新たな運動につながった
草の根の抵抗と闘う土壌
全労協副議長
唐澤武臣
国民世論の多くが慎重審議・廃案を求めた「戦争法案」は九月十七日参議院特別委員会で自民・公明党の暴力的採決によって可決とされたが、あの採決に果たして有効性があるのかと追及の声が上がった。
国会が会期末に近づく中で、何としても採決に持ち込もうとした自民党は参議院特別委員会で自衛隊出身の佐藤正久理事らが謀り、突如として特別委員会議場になだれ込んだ自民党若手議員に防衛大学仕込みの「棒倒し」競技の如く議長席下に潜り込んだ (原稿を握る)鴻池委員長をスクラムガードさせ、委員長はペンライトで可決手続きの原稿を読み、これを佐藤理事がスクラムの上から見ながら議場の自民・公明議員に起立の合図を送るという前代米聞の「採決」であった。議事録は「議場騒然・聴取不能」となり採決は瑕疵ある事が歴然である。
国権の最高機関たる国会がこのような暴力的な手法で国民の過半数が反対する法案を強行採決したことは断じて許すことは出来ない。
「安保関連法案」では、多くの市民が老若男女問わず怒りを表し立ち上がり声を上げ続けた。六〇年安保と比して「組織されない多様な市民が声を挙げた」と言われている。確かにシールズの登場は大きなインパクトを与え、その後ママの会やミドルス、オールズ、トールズなど次々と連鎖的に反対運動が広がった。しかし、昨年から平和フォーラムを中心として「戦争をさせない一〇〇〇人委員会」が全国に広がり、各地で集会やデモなどが繰り返され、安倍政権への抵抗と闘いが続けられるなど、こうした草の根の闘う土壌があったからこそ、もう黙ってはいられないと、新たな市民運動の芽を切り開く事に繋がったものと確信する。
安保関連法案成立から一転、安倍首相は「アベノミクスの第二ステージ」「新三本の矢」等という子供だましの「経済政策」強調で、国民の批判をかわそうとしているが、市民の怒りの連鎖を切らさないためにも、労働組合の闘いと行動がさらに一歩も二歩も問われている。
米国は、先頃アフガニスタンからの兵土撤退を方針転換した。中東諸国で泥沼化する米軍の対テロ戦争は出□の見えない状況となっており、国際貢献と称していつでも戦争の出来る国となった日本に対する環境は、海外のNGOなどに対しても危険な兆侯が出始めている。
既に闘いの第ニラウンドは開始されている。そして来年の参議院選挙は、安倍政治を倒す重大な政治決戦であり、全労協も戦争法の発動を阻止し、廃棄に追い込むために全国の仲間と共に全力を上げて闘い抜いて行かなければならない。