全労協/ 戦争法案の廃案で 米国からの独立の一歩を / 全労協新聞 2015年9月号

全労協/ 戦争法案の廃案で 米国からの独立の一歩を / 全労協新聞 2015年9月号


全労協
http://www.zenrokyo.org/

全労協新聞
http://www.zenrokyo.org/simbun/sinbun.htm
より

コラム 疾風

戦争法案の廃案で
米国からの独立の一歩を

全労協常任幹事
中原純子


安倍首相は日米首脳会談後の四月二十九日、米国議会でわが国の首相として初めて演説を行った。グアム基地整備に二八億ドルの資金協力を表明し、日米同盟を堅固にする戦後初めての大改革を夏までに成就させると、国会審議もこれからの安保関連法案の成立を米国議会に公約した。

国賓に準ずる厚遇で迎えられ、祖父岸信介の名をあげて得意げに演説する安倍首相に対して、訪米に先立ち辺野古新基地建設反対を訴えた翁長知事をはじめとする沖縄県民と、また、東日本大震災復興の政治的怠慢と東電福島第一原発の爆発でいまだ避難生活を強いられる被災者たちの憤りは大きく、さらに、アベノミクスで収奪され名ばかりの「地方創生」に疲弊する地方経済のなかで苦闘を余儀なくされる、中小企業、農民・漁民の怒りも更に大きい。私たち労組・労働者たちは地方の怒りに深く思いを致して、安保法案を廃案に追い込み、安倍政権を打倒するために共に行動しなければならない。

安倍首相は、米国議会の演説を「私たちの同盟を『希望の同盟』と呼びましょう。」と恥じることなく締めくくった。

第二次世界大戦の同じ敗戦国である日本とドイツの現状は大きく異なり、その違いは米国に対する政治的な態度の違いにある。戦後ドイツは、紆余曲折を経たが食糧とエネルギーを重視して育成し、金融政策も安全保障も対米自立の道を歩んでいる。

一方で日本は、冷戦後の世界で米国のアジア戦略を同盟国として支え、日米安保を「再定義」し、アジアで中国包囲網を担う米国の世界支配の先兵となっている。また、リーマンショック以降、衰退する米国に替わり異次元の金融緩和を行ったアベノミクスで、輸出大企業と内外投資家たちはぼろ儲けしたが、国内の貧富の格差は拡大し国民多数の生活は窮乏化して中小企業の営業は行き詰まっている。労働者の賃金は世界主要国のなかで唯一、長期に下落を続け、さらに、国の独立の基礎である食糧とエネルギーが米国に牛耳られ、米軍基地強化により沖縄県民は戦争の危機のもとで生きることを強いられている。これが戦後七〇年・冷戦崩壊後二五年の日本の姿である。

これら諸悪の根源である「大企業中心で対米従属の政治」の転換には、凋落する米国からの真の独立が求められている。全労協に課せられた任務は大きく労働運動の再生こそが鍵を握る。全国の仲間たちと共に奮闘したい。