全労協/ 残業代ゼロ・過労死促進法反対 / 全労協新聞 2015年3月号

全労協残業代ゼロ・過労死促進法反対 / 全労協新聞 2015年3月号




15春闘勝利に向けて

●残業代ゼロ・過労死促進法反対


8時間労働で
生活できる社会ヘ


 二月十三日労働政策審議会労働条件分科会は労働側委員の強い反対意見に耳を貸すことなく「今後の労働時間法制等の在り方」について報告を取り纏め、同日建議となった。

 その概要は次の通りだ。

裁量労働制の適用拡大
③フレックス制度の清算期間を一ヵ月から三ヵ月に延長
④有給休暇の年五日消化の義務付け
⑤中小企業に対する月六〇時間超の残業割増率を平成三一年四月から適用に


 過労死防止対策推進法が成立し、長時間労働をなくすことか今最も必要だし、安倍政権がいう「女性活躍」が実現するためにも必須だ。しかし報告は中小企業の残業割増適用を五年後に先延ばしにし、年休五日の取得を義務づけしただけでほとんど有効な手立てはない。労働側が主張した規制については「結論を得るに至らなかった」と切り捨て、一方政権と経済界が求めるWEの導入や、裁量労働制、フレックス制度の規制緩和は労働側の反対を無視して取り入れた。

 労働側委員は審議会の最後に「WEやフレックス・裁量制拡大などは規制緩和であり長時間労働をもたらす。岩盤だからドリルで穴をあけるというが、命と健康を守る最低基準を岩盤というのか。WEはアメリカにしかない、日本は二番目の国となる。高い収入かあれば労働者の時間規制を外していいのか、その点についても答えをもらっていない。規制を緩和するのではなく、高いハードルをかけることが、労使でハードルを乗り越え生産性を上げてきた。改めて反対を言いたい。」と異議を述べた。またWEやフレックス制等の導入を産業競争力会議など労働者のいないところで決め、それを閣議決定し、その枠組みを元に行う労政審のやり方に「違和感がある」とILOの三者構成をないがしろにするやり方を批判した。

 労働側の反対意見は報告書に記載されても法案には反映されない。だが新しい労働時間法制は政労使の合意で出されたものではないことは明白だ。引き続き法制化を許さない運動を強めていこう。