全労協/ 15春闘で生活できる賃金獲得を / 全労協新聞 2015年2月号

全労協15春闘で生活できる賃金獲得を / 全労協新聞 2015年2月号


15春闘で生活できる賃金獲得を
働く者全体の賃金上昇を視野に入れた春闘
安倍政権の辺野古新基地建設、原発再稼働反対


安倍首相は年頭の記者会見で、今度の通常国会は「改革断行国会」であると述べた。また同時に、「積極的平和主義の下、世界の平和と安定に一層貢献する明確な意思を世界に発信したい」と表明した。

一月十四日に閣議決定された二〇一五年度予算案(九六兆三四二〇億円)を大雑把に俯瞰してみると、防衛予算が三年連続増の最高額となり、安倍首相の「集団的自衛権使容認」の意向が反映されている。アベノミクスを地方にも広げようとする地域活性化策の「地方創生」事業に三兆円。外交関係予算を十三億円。辺野古の埋め立てを目指す米軍普天間飛行場移設関連費は一七三六億円と大幅に増額。反面、沖縄振興予算は翁沖縄県知事誕生への報復とも思える前年度からマイナス一六二億円の三三三九億円となっている。

生活保護費は「住宅扶助費」と暖房費にあたる「冬季加算」が減額になるなど、社会保障の充実に最大限取り組んだ」というが、富裕層の子どもや孫への贈与税の優遇を決めたのとは対照的に社会的に支えの必要な人たちへ寄りそう気持ちが微塵も感じられない。これでは格差拡大を一層助長するものといわざるを得ない。

今年は春闘六〇年。一九五五年、「八単産共闘」から始った春闘は、日本社会の格差縮小などその役割と効果を果してきた。

昨年の総選挙中安倍首相は、「アべノミクスは確実に成果を上げている。雇用は一〇〇万人以上増え、賃金が平均二%以上アップした。成長戦略をさらに力強く実施」すると明言したが、増えたのは二年前に比較して非正規労働者一二三万人、一方で正社員は二二万人減少している。賃金が二%アップしたというがそれは一部大企業労働者の名目賃金のこと、多くの労働者は賃上げがなかったと答えている。まして、非正規労働者は一部を除いて賃上げはない。安倍政権による賃上げ要請で14春闘は「官製春闘」と揶揄された。

さて今15春闘、昨年十二月安倍首相は、二年連続して「政労使会議」で「経済の好循環」を掲げ「賃金の引き上げに向けた最大限の努力」を経済界に要請し、デフレ脱却に向け政労使が「賃上げ」で合意したと伝えられている。

経団連は、かつては「論外」と否定していたベースアップについて、一月二十日、今春闘に臨む経営側の指針となる報告書を発表し、業績好調な企業は「賃金の引き上げを前きに検討することが強く期待される」としている。しかし一方で「ベースアップは賃金を引き上げる場合の選択肢の一つ」「賃上げ=ベアといった単純なものとはならない」「業種や業態によってベアが出来るところとそうでないところがあり、一律に二%というのは受容できる状況にない」という否定的な考えを示している。

昨年四月の消費税増税と円安で物価は上昇基調にあり、僅かばかりの賃上げがあったとしても実質賃金は物価ほど上がらず、生活必需品の高騰は生活に打撃をあたえている。非正規労働者は全労働者の三八・二%にも達し、二〇〇〇万人を超えた。低賃金でいつ解雇されるか分からない不安定な働き方をさせられている。雇用不安を解消し、同一労働なら同じ賃金を保証することは社会全体で解決すべき問題だ。しかし経団連は「非正規労働者の賃金は労働市場の需給関係の影響を強く受ける」として取り組みを避ける。

大企業労働者の賃上げが非正規労働者にも広がり、働く者全体の賃金上昇を視野に入れた春闘でなくてはわれわれ労働組合運動の存在意義が問われる。

15春闘は、「再び官製春闘などと揶揄されることなく、人間らしく安心して働き、生活できる賃金獲得に全力あげう。