全労協/ 労働運動の前進で現状打開を / 全労協新聞 2014年10月号

全労協労働運動の前進で現状打開を / 全労協新聞 2014年10月号





労働運動の前進で現状打開を

貧困と戦争への道をすすむ安倍政権と闘う
雇用破壊と消費税増税による格差拡大を許さない


 東京電力福島第一原子力発電所の大事故から約三年半が過ぎました。いまだに十四万人を超える県民が、慣れ親しんだ故郷を追われ、そして過酷な避難生活を余儀なくされています。二〇一一年十二月十六日事故収束宣言が出されましたが、その後も「高線量下のきびしい環境のもとで、汚染水対策や使用済み燃料プールからの燃料取り出しなど過酷な被曝労働が続いている」と伝えられています。

 そうした中で、五月二十五日福井地裁の樋□裁判長は、関西電力大飯原発三・四号機の再稼働を巡る運転差し止め訴訟で、「原発の安全技術と設備は脆弱なものと認めざるを得ない」として運転差し止めの判決を出しました。判決は東電福島第一原発事故の被害の大きさに触れ、「生存を基礎とする人格権は法分野において最高の価値を持つ」と述べ、関西電力の想定を「根拠のない地震動、信頼に値する根拠はない」と、「個人の生命を守り、生活を維持するこいう人格権の根幹部分に、具体的な侵害の恐れがある場合は、侵害行為を差し止め請求できる」とし、「原発の運転停止で多額の貿易赤字が出ても、豊かな国土に国民が根を下ろして生活していることが国冨であり、これが取り戻せないことが国冨の喪失だ」と断言しました。

 にもかかわらず、原子力規制委員会は、「九州電力川内原子力発電所一、二号機の安全対策が新規制基準に適合している」とする審査書案を了承し、今後「審査手続きや地元の同意などを経て、川内原発は秋にも再稼働する見通しとなった」と報じられました。「再稼働ありきの審査合格」で再稼働に突き進もうということだと思います。

 次に、われわれが直面する喫緊の課題は、ひとことで言うならば、「貧困と戦争への道」との闘いです。労働者の労働条件や生活より、「日本を世界で一番企業が活動しやすい国にする」と公言し、平和より戦争のできる国家に対応するための法整備に乗り出そうとしています。
 
 生活保護基準の大幅引き下げと生活保護法の改悪、地域医療・介護総合確保推進法の成立、生活保護制度の改悪を突破□として医療・年金・介護などの社会保障制度全体の改悪です。これに消費税増税は貧困と格差をさらに拡大させています。

 そして雇用破壊です。

 専門性の高い二六業務に限定してきた無期限派遣を全業務に拡大する労働者派遺法改悪の勣きは、さきの国会に上程されたものの、条文のミスにより廃案とされました。しかし秋の臨時国会への再上程がいわれ、労政審で開始されている残業代ゼロ制度(ホワイトカラー・エグゼンプション)、限定正社員制度の導入など、来年の通常国会での改立を目論んでいます。

 次に戦争させない闘いです。

 安倍内閣は昨年の臨時国会で「国家安全保障会議設置法案」と「特定秘密保護法案」をセットで成立させ、極めつきは七月一日「集団的自衛権の行使を容認するための憲法解釈変更」を閣議決定しました。この閣議決定に至るまで、今述べた二法案以外に、 「国家安全保障戦賂」、「新防衛大綱」、「中期防衛力整備計画」、四月には「武器輸出三原則」を撒廃し、他国にも武器輸出を可能とする「防衛装備移転三原則」に転換してきました。この閣議決定を踏まえ「必要な国内法制を速やかに整備すること」を表明してます。

 全労協は、「平和と民主主義」「憲法」の最大の危機と捉え、「戦争をさせない1000人委員会」に結集して全国各地で闘いを展開する決意であることを改めて表明しておきたいと思います。

 いま、日本資本主義の矛盾挙に吹き出していると思います。非正規労働者は二〇〇〇万人台にまで増大し、年収二〇〇万円以下の労働者は〇〇〇万人を超え、生活保護を受ける人々は二一三万人と、とてもわれわれが安心して働き生活できる社会とはいえません。この現状を打開するには労働運動の前進しかありません。全労協は次の闘いに備え、全力を挙げていくことを表明して、私の挨拶としたいと思います。

(金澤壽
全労協議長大会挨拶要旨)