全労協/ 静岡ふれあいユニオン / 全労協新聞 2014年9月号

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●静岡ふれあいユニオン

県民厚生会第2次訴訟
静岡地裁で勝利判決


七月九日、静岡地方裁判所で、県民厚生会第二次訴訟の勝利判決が下された。

判決内容は①原告は雇用契約上の権利を有する地位にある(解雇無効)②未払い賃金二〇八万円(労災補償受給額を差し引いた額)の支払い③原告に対する安全配慮義務違反で県民厚生会は慰謝料五十万円を支払うよう命じた。

山口和宏裁判官は、原告・渡辺洋子さんが小栗元常務の指示により勤務表の改ざん業務に携わるようになり、適応障害を発症したと認定した。これが解雇無効の判決の根拠となった。

しかし、原告にとって最も重要な訴えである小栗元常務から受けたパワハラについては、「日常的に威圧的な言葉を用いたり、適正な範囲を超える業務を強要したとまで評価できる証拠はない」と退けた。

その一方で、「元常務が原告に指示した勤務表の改ざんは県に対する不正行為で法令違反である」と断定した。


パワハラでは判断に矛盾


しかし改ざん命令を不正行為と認めておきながら、その不正を原告に強制した行為そのものをパワハラとはなぜか認めていない。

また小栗元常務の改ざん命令は「嫌がらせの意図で作業をさせたとまで認めるに足りる証拠はない」とも判断している。

違法行為そのものを認めておきながら、その行為には「私怨」が認められないとも判断。私怨とは「個人的な恨み」であり、改ざん命令を業務命令と判断しておきながら、肝心のパワハラ認定では業務ではなく個人を全面的に出し却下するという判断の矛盾には到底納得できるものではない。

地裁判決は「パワハラの存在を認めていない」として、原告は東京高裁への控訴を決意している。

県民厚生会の安全配慮義務違反が認められたことは第一次よりも一歩前進ではあるが、小栗元常務のパワハラを認めないままでは完全勝利とは言えない。

勝利に向けて引き続き皆様
のご支援をお願い致します。

(宮田悦子)