●全国一般東京東部労組
堂々と意見陳述
非正規差別やめよ
東京メトロの地下鉄駅売店で働く非正規労働者の女性たちでつくる全国一般東京東部労組メトロコマース支部が、雇用主である東京メトロ子会社の株式会社メトロコマースを相手取って、正社員との賃金差別を撤廃するよう求めた裁判の第一回口頭弁論が六月十九日に東京地裁であり、原告である同支部組合員四人が「非正規労働者への差別をやめよ」と意見陳述を堂々と行いました。
原告団と弁護団は「東京メトロ・メトロコマースは非正規労働者への差別をやめろ!」と書かれた横断幕を先頭に東京地裁に入りました。裁判所正門前では東部労組各支部や友好労組の仲間ら約九〇人が拍手で出迎え、マスコミ関係者がカメラを構えました。
法廷は約四〇席の傍聴席が原告側の支援者らですべて埋まり、廊下にあふれました。他方、被告のメトロコマース側は役員だけでなく代理人弁護士すら出廷しないという不誠実極まりない対応でした。こうした中、原告は瀬沼組合員、加納組合員、疋田組合員、後呂組合員の順で意見陳述に立ちました。
加納組合員は、今年三月に定年退職を迫られた際に十年間働いてきたにもかかわらず、正社員には支給される退職金が一円も支払われず、「ご苦労さま」の一言も会社からはなかったことを告発しました。
疋田組合員は、シングルマザーとして低賃金による生活苦を会社に訴えた際に「正社員や契約社員Aには認めていないが、契約社員Bはダブルワークをやってください」という会社側の言葉に「ガマンも限界」と涙ながらに語りました。
後呂組合員は、「正社員や契約社員Aが憎いわけではない」としたうえで、契約社員Bが同じ仕事をしているにもかかわらず、賃金や賞与・福利厚生などで正社員と格差をつけ、差別をされている現状では人間としての尊厳を保てないと訴えました。
四人の意見陳述で、東京メトロとメトロコマースがいかに非正規労働者の生活と権利を侵害し、正社員と不合理な労働条件の格差を設ける労働契約法二十条違反と公序良俗違反を犯してきたかが明らかになりました。裁判長・裁判官と、傍聴した支援者らは真剣に耳を傾けました。東京メトロとメトロコマースの経営者こそ、この訴えに真摯に向き合うべきです。
被告のメトロコマース側は答弁書を裁判所に提出しました。それによると、「原告らと正社員の労働条件の差異は合理的なものであって、労働契約法二十条に反するものではない」などとして全面的に争う姿勢を示しています。
裁判後ただちに裁判報告集会を開きました。瀬沼組合員は「絶対に引き下がらない」、加納組合員は「入場時の拍手に勇気づけられた」、疋田組合員は「劣悪な労働条件で働く人たちが世の中にはたくさんいる。この闘いをやめるわけにはいかない」、後呂組合員は「裁判提訴後、組合員が一人増えた。非正規労働者への差別に歯止めをかけたい」とそれぞれ語りました。弁護団からも裁判の解説と闘う決意が述べられました。同支部による提訴に続いて、同じ労働契約法二十条違反で裁判闘争に立ち上がった郵政産業労働者ユニオンの非正規労働者の仲間からも連帯のアピールを受けました。
(F)