全労協第9回組織化合宿 / 全労協新聞 2014年7月号 3面から



全労協第9回組織化合宿

国際的視点を持った労働運動で
希望を持って組織拡大へ


毎年五月恒例の第九回組織化合宿は、田端博邦先生から『アベノミクスと「雇用改革」』の講演と、民間と公務の五つの職場から報告を受け、参加四十人の労組役員による真剣な討議と報告により意義ある合宿となった。


「今日は、大きな視点で話したい」と始まった田端先生の講演は、一七九九年イギリスの団結禁止法に象徴される資本主義初期から、二〇〇八年リーマンショック世界金融危機から立ち直れぬまま現在に至る、資本主義社会約二〇〇年余の歴史を振り返るもので、文字通り「大きな視点」からの問題提起となり、私たち労組活動家を鼓舞する激励となった。


戦後の国際関係を規定したブレトンウッズ体制の崩壊から、世界は、ヒト・モノ・カネが自由に移動する規制緩和が進み、「お金が一番、金融が一番」の金融資本主義の時代となっている。「私たちは、資本主義社会の大転換の時代を生きている、直面する困難は、ある意味当然である。」と、田端先生は私たちに覚悟を求められた。


続けて「日本を含め世界資本主義は危機だらけで、各国政府は世界金融危機の付けを庶民の税金から払っている。現在の資本主義社会の仕組みは、資本・大株主にとって良い仕組みで、庶民・労働者にとって不都合ばかりだ。また、各国政府は企業の顔色ばかりを窺っている。」と論断して、「アベノミクスの狙いは、一握りの上級労働者とそれ以外の労働者への更なる二極化であり、資本の側に徹底的に効率よく安上がりに稼がせるものだ。」と、小気味よくアベノミクスを批判された。


さらに、国際的な新たな世界経済システムの可能性にも言及され、「資本主義は、現在のまま不動不変ではない、歴史的に大変動していることを見抜いてほしい、労働運動は国際的視点で捨てたもんじゃない、希望を持って組織拡大と闘争を頑張ってください。」と激励の言葉で講演を締められた。目前のことに追われる私たちには、覚醒を促される講演となった。


現場報告として民間から、全国一般洛南合同労組服部書記長「トラック労働者の現況と最賃問題」、全統一労組鳥井副委員長「使ってならない外国人技能実習制度」、郵政産業労働者ユニオン倉林中央執行委員「労働契約法二十条裁判について」、公務から、全水道東水労諸隈副委員長「外郭管理団体の取り組み」、東京清掃労組染書記長「特別区清掃事業・広がる非正規労働者の活用」の五人が重要な報告をされた。次回の組織化合宿に全国の仲間たちの参加を期待したい。


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