5000人の参加者に訴える山下大阪全労協議長(9月7日)
グローバル化した雇用破壊に
国を越えた草の根の連帯を
九月五日~十三日にかけ、アメリカのウィスコンシン州マディソン市とイリノイ州シカゴ市を訪れ、現地の労働組合と交流を深めて来ました。全労協からは五人、大阪労働者弁護団所属弁護士二人の合計七人で現地を訪れました。
二〇一一年三月、マディソンでは十万人にも及ぶ市民蜂起が起きました。財政再建の名目で、保守系議員、スコット・ウォーカー知事が、職員の賃下げ、団交権の制限等の法案を提案したことに怒りの声を上げた市民が、数日間に渡り州議会を占拠する闘いを繰り広げたのです。
ウォーカー知事の手法は、驚くほど、橋下徹大阪市長(元大阪府知事)の手法と酷似していました。度重なる失言・失態にもかかわらず居座り続ける橋下維新をどう切り崩していくか、そのヒントが、十万人もの市民が立ち上がったウィスコンシンの闘いの中にあるのではないかと考え、アメリカに向かいました。
マディソンでは、教職員・警察官・消防士など、主に公務員労働組合と交流の機会を持ちました。マディソン教職員組合(MTI)は、ウォーカー知事が制定した、団交権剥奪の州法に抗して、裁判で違憲判決を勝ち取るとともに、市当局と労働協約を締結して、ユニオンショップ、チェックオフを維持しています。
九月七日に大きなスタジアムで行われたFighting Bob Fest 2013(進歩派勢力による大衆集会)では、五〇〇〇人の前で、山下恒生大阪全労協議長が大阪の状況をスピーチし、連帯を表明しました。
シカゴでは、AFSCME(アメリカの自治労に相当)の専従役員の案内で、メーデー発祥の地であるヘイマーケットを訪れました。アメリカ労働問題の現状、企業が莫大な金をつぎ込み労働組合加入を阻止するキャンペーンを行っていること、労働運動がミドルクラスの運動になってしまっている状況等について理解することができました。
その後、シカゴ教職員組合(CTU)を訪れました。シカゴでは、教育の民営化が進み、八月末で公立学校五十校が閉鎖、八〇〇人が解雇される状況が起きています。公立学校の閉鎖は、貧困層の子どもから教育を受ける権利を奪うと同時に、人種差別と直結していることを実感しました。
今回、MTIとCTUの二つの教職員組合を訪れましたが、そのどちらの執行委員長も女性でした。日本では、女性が労働組合の執行委員長になると、まだまだ驚かれるのが現状ですが、彼女たちの生き生きとした姿に大きな希望を感じました。
アメリカを訪れ、雇用破壊がグローバル化していること、公務員バッシングと公務員労組攻撃が「先進国」に共通していることを実感しました。この状況を食い止めるためには、国を超えた草の根の連帯がますます大きな役割を担うことでしょう。今回の訪問をきっかけに、今後全労協も、アメリカ労働組合との連帯にも、よりいっそう力を注いでいければと思います。
(大椿裕子大阪教育合同労働組合副執行委員長)
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