最低賃金13-49 兵庫労働局に異議申出書 前半

最低賃金13-49 兵庫労働局に異議申出書 前半

今年は、例年のスタイルを改めた。
例年は、意見書をベースに、宛先が、審議会から、労働局長になっているので、その点を考慮しての書き換え…という感じ?
差出人の連絡先は省略


2013年9月6日
兵庫労働局長 前田 芳延 様


自立労働組合連合
スイートガーデン労働組合神戸支部



兵庫地方最低賃金審議会の意見に対する
異議の申出書


 最低賃金法第12条(もしくは、第11条2項および同法施行規則8条の規定)にもとづき、以下の通り異議の申出を行います。


【異議の内容】

1.2013年8月22日に公示された、最低賃金を761円(12円引き上げ)とする兵庫地方最低賃金審議会の答申意見は、働いて受け取る賃金としては、あまりにも低すぎ、「賃金の最低額を保障することにより、労働条件の改善を図り、もつて、労働者の生活の安定、労働力の質的向上」(最低賃金法)に資するものとは言い難い。
  2013年7月24日付「兵庫県最低賃金の改正審議にあたっての意見書」(兵庫地方最低賃金審議会宛)で求めたように、「兵庫県最低賃金を、『生計費を基準に、健康で文化的な生活を営むことができる』金額に引き上げること。そのため、時間給を1200円以上にすること」、さらに、1200円以上にするためのさらなる政策議論と建議を求めます。

 
【異議の理由】

1.7月24日の意見書提出と、関連する最低賃金をめぐる動き

 5月17日 国連・社会権規約委員会、日本への総括所見
 7月 2日 中央最低賃金審議会、大臣が出席
 7月 3日 兵庫労働局、意見聴取に関する公示
 7月24日 意見書提出                        【添付資料①】
 8月 2日 日弁連最低賃金額の大幅な引上げを求める会長声明     【添付資料②】
 8月 6日 山本太郎議員、地域別最低賃金に関する質問主意書(13日 答弁書
 8月 7日 中央最低賃金審議会答申(全国平均14円、兵庫12円引き上げ)
 8月 8日 神戸新聞社説「最低賃金/経済好転へ生活底上げを」
 8月 8日 第1回兵庫県最低賃金専門部会(案内文8月2日付、ホームページ掲載8月5日)
 8月11日 中国新聞社説「最低賃金 地域格差縮める方策を」
 8月14日 産経新聞主張「最低賃金引き上げ 中小企業の支援欠かせぬ」
 8月21日 兵庫弁護士会最低賃金の引き上げに関する会長声明     【添付資料③】
 8月21日 大阪で、19円引き上げの答申
 8月22日 兵庫地方最低賃金審議会、12円引き上げの答申
 8月26日 京都・滋賀で、14円引き上げの答申
 8月30日 厚生労働省、平成25年版労働経済白書
 9月 4日 各紙「最低賃金、平均15円増へ 安倍政権の意向強く反映」


2.貧困の解消のためにも大幅引き上げ、1200円までの引き上げが必要です

 8月22日の答申後、8月30日に公表された「労働経済白書」によれば、一家の年間所得が単身世帯で200万円、2人以上で300万円を下回る「低所得世帯」で、世帯主など稼ぎ頭のうち非正規労働者の人は2010年時点で約149万2千人と推計されています。現在では、低所得世帯・ワーキングプアはさらに拡大していると思われます。
 最低賃金の引き上げは、こうした低所得者世帯・ワーキングプアを無くすためにも急務です。
 7月24日付意見書で述べたように、時間1200円以上に引き上げることによって(月150時間で)、年200万円を何とか超えます。そこまでの引き上げが必要です。
 答申前後に公表されている情報・資料、7月24日付意見書などを再検討し、さらなる引き上げを再審議してください。


3.1200円に引き上げる政策審議・建議を
  ~中小企業対策と、都市と地方の格差の解消を~

 8月8日付神戸新聞社説「最低賃金/経済好転へ生活底上げを」では、「最低賃金全体の底上げには、地方経済や中小企業の経営環境の改善が欠かせない。政府や自治体は、地域経済の活性化策とともに中小企業の生産性向上などへの支援を強化し、経済の好循環に向けた取り組みを進めるべきだ。」と結論付けています。
 8月14日付産経新聞主張は、タイトルそのものに「最低賃金引き上げ 中小企業の支援欠かせぬ」と、中小企業支援を取り上げ、国に対して「必要な賃上げができるよう、中小企業への経営支援に手段を尽くしてほしい」と求めています。

 今年、東京が19円引き上げ、高知は12円引き上げを答申しています(9月5日時点、島根はまだ)。結果、最も高い東京都は869円、最も低いのは沖縄、高知、長崎など8県の664円です。現在に比べ、更に格差が拡大しています。

 8月8日付神戸新聞社説「最低賃金/経済好転へ生活底上げを」では、「大都市圏と地方との格差拡大も大きな課題だ。大幅に上がるのは大都市圏で、東京と最も低い島根や高知との差は200円以上に広がってしまう。」と、格差拡大に懸念を表明しています。
 8月11日付の中国新聞の社説は、タイトルそのものが「最低賃金 地域格差縮める方策を」となっており、「最低賃金地域間格差も見過ごすことはできない。47都道府県で最高の東京都は目安通りに上がれば、時給869円になる。これに対し、最も低い島根県は引き上げられても662円で200円余りの差がある。/大都市部と地方の最低賃金の格差は毎年、広がっている。この状態が続けば、さらに大都市部への人口流出に拍車を掛けかねない。格差を是正するには、政府が地方経済の再生そのものに取り組むことが求められる。」としています。

 最低賃金審議会は、今年、初めて金額以外の答申を行っています。さらに、より具体的な提言・建議が求められていると思います。答申前後の資料・情報も含めて、7月24日意見書を再検討し、政策・建議についても再審議をしてください。



(神戸)