2013/06/15 移住労働者と連帯する全国集会・神戸2013 (写真)

2013/06/15 移住労働者と連帯する全国集会・神戸2013 (写真)


移住労働者と連帯する全国集会・神戸2013

移住連:移住労働者と連帯するネットワーク

イメージ 1

移住労働者と連帯する全国フォーラム・神戸アピール(案)

2013年6月16
 
 私たちは、移住労働者と連帯する全国フォーラム・神戸に集い、多民族・多文化共生社会を実現する活動の成果を分ちあい、移住者の権利を守るための議論を重ねてきました。日本国籍がないために、あるいは文化的背景が違うといった理由で、基本的人権の枠組みから外され、差別や偏見の対象にされる人々の現実を共有するために多様なルーツを持つ住民の声を聞く機会を持ちました。
 
 昨年7月に施行された入管法・入管特例法、住民基本台帳法の改定は、外国籍住民に今までにない様々な届出を義務化し、届出遅滞への罰則、在留資格取消し規定新設など、外国人監視システムともいえるものになっています。しかしこれらが当人である外国人に周知徹底されているとはいえず、不当な処分が危惧されます。また改定法によって非正規滞在者は「見えない存在」として切り捨てられています。私たちは、改定法および施行後の問題点を掘り起こし、改定法附則第61条にある「施行3年後の法律の検討」から抜本的改正を求めていきます。
 
 DV被害女性が自ら被害を申告してもとりあげられず、生活保護のみならず、在留資格更新や変更が不許可となった事案も見受けられます。DV防止法の保護対象者にも外国籍女性が含まれることを確認していかなければなりません。また、今国会で締結が承認されたハーグ条約国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約)は、国際結婚が破綻した母子、特にDV被害や虐待を受けた外国籍女性や子どもの権利(居住権や移動の自由など)が保障されないことが危惧されます。国内法の制定から今後に向けて起こり得るあらたな問題について注意を喚起しなければなりません。
 
 移住労働者の賃金引き下げ、解雇、労働災害と補償間題などの相談は相変わらず労働組合に寄せられます。「労動搾取を目的とする人身取引」と批判された研修・技能実習制度も実質的に変わらず、人出不足のケアーの現場には、父が日本人である「新日系人」や母親たちが来日して働いています。こういった移住労働者が、非正規・有期の不安定雇用も、派遺切りも、社会保障からの排除も、真っ先に経験し、帰国や転職に追い込まれています。
 
 外国人の生存権を守り、貧困の連鎖から脱出するためには生活保腫を含む社会保障と自立支援が必要です。東日本大震災の被災外国人の場合も同様です。東日本大震災後には、阪神・淡路大震災で経験した「震災弱者」への情報発信などの経験を共有しましたが、他の地域でも大規模な震災への予防対策が重要です。そして日々の生活の中では、日本政府、自治体による外国籍住民サービス、地域や学校、医療保険関係者、支援団体、市民による外国籍住民との関わり方、連携の仕方が問われています。
 
 ニューカマーとよばれる移住労働者が直面する問題がある一方で、オールドカマーとよばれる旧植民地出身者の人たちが今なお直面する民族差別があります。国や市によって朝鮮学校の授業料無償化が否定され、民族教育を受ける権利や子どもたちの平等が侵害されています。こういった民族差別を許すことによって一部の日本人がゼノフォビア(外国人嫌悪)意識をあおっています。参政権のない外国籍住民の意見や主張は社会に反映されません。人種差別撤廃条約を批准した国でありながら、人種差別を禁止する法律がなく、外国人の人権を保障する法律がありません。外国籍住民として認め、参政権をはじめ日本国籍者と同様の権利獲得が考慮されてしかるべきです。私たちは、日本に住む誰もが尊重され、住民として安心して生活できる社会を望んでいます。そのためには住民としての権利を認め、保障する制度、法律が必要です。韓国では、「多文化家族保護法」などの外国人人権基本法が制定されてきました。それらを参考にしながらも、日本社会でも、多民族・多文化共生社会の実現にむけ、今こそ、「外国人・民族的マイノリティの人権基本法」を制定し、平和で安心して暮らせる社会をめざそうではありませんか。

第9回移住労働者と連帯する全国フォーラム参加者一同

読取をベースにしているので、ミスタイプとかあるかもしれません。



ヘイトスピーチの廃絶を求めるアピール


私たちは多民族・多文化の人びとが互いの違いを大切にし合い、多様性による豊かさが育まれる社会をめざして、「第9回移住労働者と連帯する全国フォーラム・神戸」に集いました。しかし現在日本の各地では、そうした理念に真っ向から反した、特定の民族・国籍の人びとに対する憎悪をあおり立てる、聞くに堪えない過激な言動が街頭で公然と行われ、激しさを増しており、深い憂慮と憤りを感じます。

日本では1980年代以降の移住者人口の増大と、1990年代に始まった「外国人犯罪」キャンペーンの影響などから、外国籍者や外国にルー ツをもつ人々に対するゼノフォビア(外国人嫌悪)が広がり始めました。また反中国を公言する石原前東京都知事のいわゆる「三国人発言」が、国内外から違法性を指摘されていたにも関わらず、結果的に放置されたため、公然とヘイトスピーチ(憎悪・差別表現)を行う人々が一般 社会でも増え始めました。2000年代以降の近隣諸国との歴史認識問題をめぐる軋轢の中で、歴史修正主義嫌韓反中意識が広がり、外国人排斥を主目的とする極右団体も誕生しました。そして2010年代にはついに、在日コリアンが多く住み、店舗を出す地域で「大虐殺を実行する」 「朝鮮人を駆除せよ」「よい韓国人も悪い韓国人もどちらも殺せ」といった敵意や憎悪に満ちた街宣活動が、白昼堂々繰り返されるようになりました。

私たちは日本を、人びとの心を深く傷つけ、生存の脅威を感じさせる暴言やジェノサイド(集団虐殺)、エスノサイド(民族抹殺)の公言を放置 するような社会にしたくはありません。特定の民族集団を「殺せ、殺せ」と叫ぶ街宣活動が拡大していく社会は、国際社会からも孤立し、危険視されていきます。

私たちは、敵意や憎悪が広がる事態を速やかになくすべく、思いを同じくする人たちと幅広く連携・協力し、以下の課題に取り組んでいくことを 表明します。

(1) 特定の民族、国籍、社会的身分に属する人びとに対する敵意を煽り、殺害や排除を予告・助長するような暴言・脅迫・威嚇を行うヘイトスピーチは、許されない人権侵害であるという決議を、国会で採択させること。

(2)日本が批准している人種差別撤廃条約の留保(編集注)を撤回し、国会においてヘイトスピーチの廃絶と被害者救済を含む人種差別撤廃の法制度を早急につくらせ、実施させること。

(3)人種的優越や憎悪に基づく思想の流布、人種差別の扇動を行うような政治家を議会に送り込まないこと。

2013年6月16日
第9回移住労働者と連帯する全国フォーラム・神戸2013参加者一同

http://www.hurights.or.jp/archives/newsinbrief-ja/section3/2013/06/616.html



(神戸)