福島とつながる2・15労働者集会―原発NO!憲法YES! 全労協新聞 2013年3月号 2面から


全労協新聞 2013年3月号 2面から

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講演をする鎌田慧さん

●福島とつながる2・15労働者集会―原発NO!憲法YES!

一人ひとりの脱原発の思いつなぎ
職場から「脱原発労働者宣言」を


二月十五日、東京・日本教育会館で「福島とつながる2・15労働者集会原発NO!憲法YES!」が四八〇人の参加で開かれた。主催者挨拶に立った平賀雄次郎全国一般全国協議会委員長は「安倍政権の原発再稼働、憲法改悪、国防軍創設と対決しよう」と訴えた。

講演で鎌田慧さん(ルポライター)は「原発は労働者の被ばくなくしては稼働できない。福島原発事故によって被ばくは拡大した。労働者差別によって成り立つ重層下請け構造を解体しなければならない」と語り「一人ひとりが脱原発の思想を固め、職場から脱原発の運動をつくることが重要」と訴えた。

福島からは、五十嵐史郎福島県平和フォラーム代表が「甲状腺がんが発生したが、県・行政は原発事故が原因とは言わない。避難だけでは生活ができないので、故郷に戻る人も出ている。原発を再稼働して復興という声もでている。また、放射能被ばく差別が広がっている」と福島の状況を語り「他人に犠牲を押しつけるのではなく、被ばくの現実に自分が責任を持った運動を」と訴えた。

さらに、警戒地域で除染作業に携わった労働者が登壇。「八畳の部屋に四人で暮らし、味噌汁と少しのゆでた野菜とご飯の粗末な食事だった。そして、マスクは自腹で、国から支給されるはずの危険手当は支払われていなかった」と除染労働現場の状況を報告。「われわれの仕事の元請けは東京のゼネコン。二次下請けは、東電一〇〇%子会社。医者と葬儀屋が一緒にやっているようなもの。これはだけは許せない」と怒りの声を上げた。そして、全国一般ふくしま連帯労組に加入して「人間らしい生活を求めてたたかっている」と語った。

伊藤彰信全港湾委員長から、三月九日の東京・明治公園での脱原発集会と三月二十三日の福島集会への参加が呼びかけれ、「各職場から脱原発宣言を発表しょう」と訴えられた。最後に、吉田壽東京清掃労組委員長の団結がんばろうで集会を終了した。


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原発を保持する
政府に怒り


この日は多くの労働組合の方々が集まる中で講演が行われました。

最初はルポライター・鎌田さんによる講演で、原発が作り出す大きなリスク、憲法を無視し、国をも滅ぼしかねない政府や一部の人達の危険思想等についての話だったが、その内容には非常に共感できた。その後に、実際に福島で作業をされた除染作業員お二人のリアルな話も聞けて、改めて原発で働く労働者の厳しい実態も分かった。

原発は現代の人類ではまだ制御できない物質であり、ひとたび大事故を起こせば一瞬にして肥沃な土地や海を汚染し、何十年、何百年と帰れない場所にしてしまう。兵器にも簡単に姿を変えられる。

しかし、あの東北大震災が起こったことによりそんな原発の大きなリスクが次々と明らかになった筈なのに、なぜ我々は安易な道へと行ってしまうのだろうと悲しくなってきた。そんな恐ろしい原発を保持しようとする代々の政府に対しても怒りを感じる。

これからもこの現実に目を背けること無く、被災地の復興と国が右翼化しないよう私達は注視して行かなければと思う。

(甲田奈々子 全国一般東京南部ラジオメーター労組)

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許せない
危険手当の


脱原発社会をめざす労働者実行委員会主催の「福島とつながる2・15労働者集会」が開催された。

折しもこの日は、朝から寒風吹きすさぶ雨のなか、13年春闘のスタートを切るけんり春闘実行委員会の各争議支援・背景資本追及の総行動が取り組まれ、その一日行動の集大成として、日本教育会館ホールで表記集会が成功裏に勝ち取られた。

福島の除染労働の現場から、防護マスクの無支給など安全管理の手抜き実態と被ばく労働、除染労働の実態などが報告された。これはゼネコンを頭に何十重もの下請け構造の中で、露骨なピンハネが横行し労働者を食い物にする実態が明らかにされた。

まさに、除染作業や福島原発廃炉作業は、労働者がいなければなりたたない。労働者の人権と安全管理を蔑ろにし、危険作業手当のピンハネに群がるゼネコンや下請け企業をゆるしてならない。

(平澤勝 全水道東水労本部委員)





福島とつながる2・15労働者集会 原発NO!憲法YES!

脱原発労働者宣言

もう原発はやめましょう。
すぐに原発をなくしましょう。

一昨年三月十一日の東日本大震災から一年十一ヶ月が経ちました。東京電力福島第一原子力発電所の事故は収束することなく、今でも放射能を拡散し続けています。また、いつ大惨事を引き起こしてもおかしくない状況です。さらに、十六万人の人々が故郷を追われ、いまだに避難生活を余儀なくされています。

私たち働く者の労働も生活も変わりました。農林水産業においては、放射能汚染地域での営みができないばかりか、その周辺においても汚染を気にしながらの生活です。製造業においては、納品される原材料が安全なのか、製造過程で水や空気から放射能が混入しないのか気が休まりません。流通サービス業においては、取り扱うものが安全なのか、被災者の人たちにも喜んでもらえるもの・サービスを安全に届けることができるのか、思案し続けています。生活においても口にする食品が放射能に汚染されていないか気にする毎日です。

除染作業で安全無視、危険手当のピンハネが横行しています。労働者の安全を顧みない、事故の責任を取ろうとしない政府と東京電力には腹が立ちます。人々に苦労を強制する、取り返しのできない事故を起こした原発はもう懲り懲りです。本当の安全と安心を取り戻すには、政府が脱原発を決断し、数十年かかる廃炉作業を国の総力をあげて取り組むことです。

昨年の総選挙で、民主党が大敗し、自民党公明党が連立した安倍内閣が発足しました。

エネルギー政策については三年間かけて検討するという舌の根も乾かぬうちに、原発の再稼働、原発の新設を公言し、原発の輸出を積極的にすすめようとしています。「安全第一を原則に」といっていますが、「安全神話が崩壊」したことをもう忘れてしまったのでしょうか。すでに使用済み核燃料などの放射性廃棄物を保管する場所がありません。平和憲法を改悪して、国防軍を創設し集団的自衛権を行使しようとしている安倍政権は、核抑止力を保持するため、プルトニウムを製造し続けようとするのでしょうか。世界平和の脅威となる改憲勢力の野望を阻止するためにも、原発を再稼働させてはなりません。

私たちは、脱原発社会をめざして職場から、地域から労働者のたたかいをすすめます。子どもたちを放射能から守り、労働者の安全と健康を確保し、いのちを大切にする社会をつくるために奮闘することを宣言します。

二〇一三年二月十五日



(F)