どんな働き方にも均等待遇実現を 全労協新聞 2012年7月号 3面

 
 


●6・14全労協女性委員会学習会
 
安くて無権利な非正規労働の実態
どんな働き方にも均等待遇実現を

 
 
移転したばかりの新しい全労協事務所で、六月十四日女性委員会の学習会を行った。
テーマは「非正規労働の実態&交流」、不安定な雇用形態、低い賃金等の非正規労働で働いている人の実態を聴き、交流する中で理解を深め、皆で考えようと企画した。
 
【郵政】 
Aさん
郵政ユニオンでは三つの課題に取り組んでいる
*期間雇用社員の希望者全員正社員化:
時給制、月給制契約社員を経て正社員に登用されるが人数は減少
*均等待遇実現:
正社員と比べて賃金は1/3、各種休暇制度の格差も大きい
*期間雇用社員六五歳定年制(雇い止め)撤回:
正社員の規定を適用し二○一一年九月実施六五歳以上の期間雇用社員は全国で一万三千人以上いた

性別による明確な賃金格差は無いが職種による格差があり、女性は内務業務のため勤務時間も短く、総じて賃金が低い。

Bさん
十三年ゆうメイト(期間雇用社員)として働き昨年九月解雇に。カレンダー通り日に四時間働き七・八万円の月収プラス通勤費。差別を受けていると感じることがあった。正社員化の亀井大臣発言はあまり信頼してなかった。
(Bさんは六五歳雇止裁判の原告にもなり、メーデーでは壇上から支援を訴えた。)
 
【NTT】
 
Cさん(N関労東京)
民営化の際に一〇四(番号案内)を対象に非正規社員が増加したが、二〇〇五年十一月にNTT東日本が提示した労働形態により、コールセンター、営業職等主力業務は有期雇用とされた。二〇〇八年で三割が非正規。非正規社員(派遣)から企業内の社員になるためは、四つの大きなハードル(低賃金・過大なノルマ)を一段階ずつクリアしなければならず、期間内にクリアできなければ雇止され、到達できた場合の雇用契約でも無期雇用の保証はなく、賃金もあまり変わらない。
Dさん
故障対応(一一三)で働いて九年。時給は一三〇〇円。以前は臨時社員で雇用されていたがNTT派遣子会社に移籍された。三カ月契約を更新している。正社員と同じ仕事をしていても賃金、手当に格差があり賃上げも無い。大震災の時、社員・再雇用者は七五〇〇円の手当がでたが派遣にはでなかった。N関労に入り、団交しているが、正社員・契約社員が取れる時間単位の有休がほしいが、要求が無く考慮していないと回答した。今の職場が千葉に集約のうわさがあり心配だ。
Eさん
職場には派遣の女性が三人いるが、時間休要求は切実。会社は取り上げない。派遣社員は三年ごとに雇用先の会社を移籍させられ、契約社員にしないようにしている。
Fさん
派遣社員は茨城には一九〇人いる。三カ月契約のため雇い止めの不安が強いが、会社側は二カ月では短いが三カ月の契約は適正期間であると発言している。
【JR】
Gさん(国労婦人部)
JR東日本はグリーンスタッフ(GS)の名前で非正規社員を一九九九年から旅行窓口業務に採用、二〇〇七年から改札・案内業務等にも拡大した。二〇〇八年頃から正社員への登用制度が開始され、当初三割の合格率が現在は一割。GS社員は三年目から受験できるが、合格しないと五年で雇い止めになる。
二三区の駅で働く駅務四〇〇〇人の内、一〇〇〇人がGSで、一一徹をやっても賃金十数万円、年収三〇〇万円程度。正社員と制服も仕事も同じで、お客側に区別はつかない。GSから正社員への登用が少ないため、ほとんどの人が五年で雇い止めになっている。この雇用形態は東日本が最初に導入し北海道が続いているが、西日本、四国等は形態が異なっているがある。
 
三つの職場から報告を受け、若干の質疑のあと第二部の交流会へ。食事をとりながら報告に対する質問や感想と自己紹介が行われ、良い交流の時間となった。
安くて無権利が「当たり前」というような働かせ方を元国営企業が率先して導入し拡大してきたこと結果が、非正規労働者が四割近くとなった現状につながっている。しかしやっと一人前になってこれからという時に雇止めを繰り返す経営者の頭はどうなっているのだろう。今後もいろいろな職場の実態を知り、どんな働き方にも均等待遇を実現する運動につなげていこう。
 

 
(F)