原発の再稼働策動を阻止しよう  全労協新聞 2012年6月号

全労協新聞 2012年6月号 1面



原発の再稼働策動を阻止しよう
厳しい状況下で闘われた復興連帯・脱原発春闘
5月5日に"原発ゼロ"、さらに脱原発の闘いを
 
 
新自由主義的労働政策の変化が、雇用の不安定化、劣悪化、賃金の下落、貧困化、格差の拡大など、労働環境や労働現場を大きく変え生活の土台を崩した。
 
昨年の東日本大震災春闘に「自粛」ムードが作り出され、これを口実にした首切り、リストラ、賃下げが強要された。大企業・労組はベア要求なしで、中小は賃下げ提案、企業間格差は一層拡大した。
 
全労協は12春闘で、個別企業の賃金を巡る闘いだけではなく、全労働者・全国民的な課題として東日本大震災原発事故被害からの復旧・復興と、安全・安心・安定した、人間らしく働ける社会の実現をめざす、文字通り「日本を変える闘い」として闘われる必要があると考えた。
 
そして大震災の復旧・復興には雇用と内需拡大が不可欠であり、大企業はその社会的責任として賃金を大幅に引き上げ、雇用を拡大して被災地を再建していくことが求められていることを繰り返し述べてきた。しかし日本経団連の「ベア実施は論外」のまえに大手企業の労働組合は、円高と震災などを理由にベア要求を行わず、一時金の要求についても昨年の実績を下回る要求となった。そして日本経団連は「日本の主要産業が企業の存続や雇用維持を最優先し、精一杯の努力をした」と評価した。そして近年、春闘が終焉したといわれる。
 
この結果は、これに続く中小の春闘を困難にした。しかしその責任を「困難」に押しつけるのではなく全労協は、「大手企業の低額回答を打破し、低賃金と不安定雇用、非正規労働者外国人労働者の均等待遇・処遇改善など、文字通り、誰でもどこでも、男女、国籍、雇用形態を問わず、人間らしい労働と生活を取り戻し、人間らしい生活が享受できる社会に日本を変えていくその一里塚にしよう」と位置づけ闘った。
 
このように12春闘は、復興連帯・脱原発の闘いとともに、派遣法の骨抜き成立や労働契約法改正案など、労働法制をめぐる厳しい状況下で重層的に闘われ、春闘の課題が賃金引き上げのみにとどまらない、全体的な労働条件に関わるものとしても闘われた。この成果は次の闘いへ確実に引き継がれていくものと確信する。
 
北海道電力泊原発三号機(北海道泊村)は五月五日、定期検査のため停止した。国内にある原発五四基のうち唯一稼働していたが、今現在この日本列島ですべての原発が全く動いていない。しかし野田政権はこの間運転再開に向けた暫定的な安全基準を設け、福島原発事故が収束していないのにもかかわらず大飯原発再稼働に向かって突き進んでいる。
 
マスコミ各社の世論調査というものも客観性を装いながらその後押しをしている。ちなみに朝日新聞が五月十九~二十日に実施した全国定例世論調査によると、「原発に対する政府の安全対策を『信頼している』は『大いに』『ある程度』を合わせて二一%にとどまり、『信頼していない』が『あまり』『まったく』を合わせて七八%にのぼった。福井県大飯原発の運転再開については、反対が五四%で、賛成の二九%を上回った」と述べ、「野田内閣はこの間、運転再開に向けて暫定的な安全基準を設けたが、国民の信頼向上には役立っていないようだ」と述べている。
 
一方他社の「電力不足なら安全が確認された原発は再稼働させてもよいと思う」とする街頭インタビューなども放映されている。われわれが主張するのは安全基準などではないのだ。電力不足を喧伝し大飯原発を再稼働させ、これを突破口に他の原発の再稼働を目論む動きは絶対阻止しなければならない。
 

 
(F)