厚労省/ 令和2年の労働災害発生状況を公表

令和2年の労働災害発生状況を公表

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令和2年の労働災害発生状況を公表

~死亡者数は3年連続過去最少、休業4日以上の死傷者数は増加~

 厚生労働省では、このたび、令和2年の労働災害発生状況を取りまとめましたので公表します。
 
 令和2年1月から12月までの労働災害による死亡者数(以下「死亡者数」)は802人(前年比43人・5.1%減、平成29年比176人・18.0%減)と3年連続で過去最少となりました。休業4日以上の死傷者数(以下「死傷者数」という)は131,156人(前年比5,545人・4.4%増、平成29年比10,696人・8.9%増)と平成14年以降で最多となりました。
 
 労働災害を減少させるために国や事業者、労働者等が重点的に取り組む事項を定めた中期計画である「第13次労働災害防止計画」(以下「13次防」)(平成30年度~令和4年度)では、平成29年比で死亡者数を15%以上、死傷者数を5%以上減少させることを目標にしています。
 死亡者数については、13次防の目標を超えた減少となっていますが、死傷者数については、平成29年と比較すると13次防の重点業種である陸上貨物運送事業、小売業、社会福祉施設及び飲食店で増加となり、同計画の目標の達成が困難な状況となっています。
 
 13次防の4年目となる令和3年度は、特に死傷者数が増加している陸上貨物運送事業、小売業及び社会福祉施設を重点として取り組むとともに、「高年齢労働者の安全と健康確保のためのガイドライン」(エイジフレンドリーガイドライン(※1))の普及啓発、「STOP!転倒災害プロジェクト」(※2)の推進などに取り組んでいきます。

 ※1 「高年齢労働者の安全と健康確保のためのガイドライン」パンフレット
   https://www.mhlw.go.jp/content/11300000/000623027.pdf
 ※2 「STOP!転倒災害プロジェクト」HP
   https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000111055.html


【令和2年労働災害発生状況の概要】

1 死亡者数 ※1
○ 死亡者数は802人と3年連続で過去最少となった。
○ 13次防の重点業種では、建設業が258人(前年比11人・4.1%減、平成29年比65人・20.1%減)、製造業が136人(同5人・3.5%減、同24人・15.0%減)、林業が36人(同3人・9.1%増、同4人・10.0%減)となった。

2 死傷者数 ※2
○ 13次防の重点業種では、陸上貨物運送事業が15,815人(前年比433人・2.8%増、平成29年比1,109人・7.5%増)、小売業が15,341人(同675人・4.6%増、同1,460人・10.5%増)、社会福祉施設が13,267人(同3,222人・32.1%増、同4,529人・51.8%増)と対前年比で増加。飲食店が4,953人(同188人・3.7%減、同232人4.9%増)と対前年比で減少となった。
○ 事故の型別では、特に死傷者数が最多の「転倒」(前年比943人・3.1%増、平成29年比2,619人・9.3%増)、「動作の反動・無理な動作」(同1,412人・8.0%増・同2,944人18.2%増)で増加した。
○ 年齢別では、60歳以上が全死傷者数の約4分の1を占め、34,928人(前年比1,213人・3.6%増、平成29年比4,901人・16.3%増)となった。

3 業種別の労働災害発生状況
○ 製造業の死亡者数は、2年連続で減少し、事故の型別では、機械による「はさまれ・巻き込まれ」が最も多く、「激突され」(前年比7人・50%減、平成29年比9人・56.3%減)で減少した。
○ 建設業の死亡者数は、3年連続で減少し、事故の型別では、最多である「墜落・転落」が初めて100人を下回る結果となった。
林業の死亡者数は、最多である「激突され」(前年同、平成29年比7人・33.3%減)が前年同となったものの、「墜落・転落」(同2人・28.6%増、同6人・200.0%増)等で増加した。
○ 陸上貨物運送事業の死傷者数は、「墜落・転落」が最多で、「転倒」(前年比147人・6.0%増、平成29年比364人・16.3%増)及び「動作の反動・無理な動作」(同259人・10.5%増、同531人・24.1%増)で増加した。
○ 小売業、社会福祉施設及び飲食店の死傷者数は、「転倒」と「動作の反動・無理な動作」が多くを占めており、増加傾向にある。労働者数の増減を考慮した死傷年千人率でみても増加傾向にあり、特に社会福祉施設の死傷年千人率(3.09)は製造業(2.61)を上回った。

※1 死亡災害報告をもとに、死亡者数を集計。
※2 事業者から提出される労働者死傷病報告書をもとに、休業4日以上の死傷者数を集計。
   なお、これらの件数に通勤中に発生した災害の件数は含まない。
※3 1年間の労働者1,000人当たりに発生した死傷者数の割合。
   1年間の休業4日以上の死傷者数/1年間の平均労働者数 ×1,000 で算出。


【別 添】令和2年労働災害発生状況
【参考資料1】令和2年労働災害発生状況の分析等
【参考資料2】令和2年高年齢労働者の労働災害発生状況
【参考資料3】令和2年外国人労働者の労働災害発生状況
 

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令和2年「職場における熱中症による死傷災害の発生状況」(確定値)を公表します

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令和2年「職場における熱中症による死傷災害の発生状況」(確定値)を公表します

~WBGT値を実測して備え、体調不良時には直ちに対応を~

 厚生労働省では、令和2年の「職場における熱中症による死傷災害の発生状況」(確定値)を取りまとめましたので、公表します(別添1参照)。

 令和2年における職場での熱中症※1による死傷者(死亡・休業4日以上)は、前年を上回り、959人と依然として多く、うち死亡者は22人となっています。死傷者については、全体の4割以上が建設業と製造業で発生しています。また、入職直後や夏休み明けで暑熱順化が十分でないとみられる事例や、WBGT値を実測せず、WBGT基準値に応じた措置が講じられていなかった事例もあります。死亡災害の発生は8月に集中し、死亡者を業種別に見ると、建設業7人、製造業が6人などとなっています。死亡災害には、熱中症発症から救急搬送までに時間がかかっていると考えられる事例も含まれています。

 それぞれの作業場では、身体が感じる暑さの程度の指標であるWBGT値※2を実測して作業環境を把握し、労働者の身体に大きな負担とならないような作業計画、作業指示を行うことが望まれます。また、各労働者の暑熱順化の程度を考慮した措置や熱中症発症時の対処の方法について予め定めておくことも重要です。

 なお、新型コロナウイルス感染症の拡大防止対策を行いながら熱中症予防措置を講ずる必要があり、作業中に不織布マスク等の飛沫飛散防止器具を着用する機会が増えています。作業の種類、作業負荷、作業環境、気象条件等に応じて飛沫飛散防止器具を選択するとともに、感染防止の観点から着用を厳守すべき作業や場所、周囲に人がいない等の飛沫飛散防止器具を外してもよい場面や場所等を明確にし、関係者に周知しておくことが望まれます。

*1 熱中症とは
高温多湿な環境下において、体内の水分と塩分(ナトリウムなど)のバランスが崩れたり、体内の調整機能が破綻するなどして、発症する障害の総称。めまい・失神、筋肉痛・筋肉の硬直、大量の発汗、頭痛・気分の不快・吐き気・嘔吐(おうと)・倦怠(けんたい)感・虚脱感、意識障害・痙攣(けいれん)・手足の運動障害、高体温などの症状が現れる。
*2 WBGT値とは
気温に加え、湿度、風速、輻射(放射)熱を考慮した暑熱環境によるストレスの評価を行う暑さの指数。

 

「STOP!熱中症 クールワークキャンペーン」実施中(5月1日から9月30日まで)

 

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