福島原発過労死裁判判決 / 全労協新聞 2021年5月号 

福島原発過労死裁判判決 全労協新聞 2021年5月号 

 


#全労協 

 

コロナ下で働き闘う労働者・労働組合

 


福島原発過労死裁判判決
いわきオール・前社長の過労死責任認める
東電・元受は認めず控訴へ


 三月三十日、福島地裁いわき支部は、過酷な長時間労働を課し続けたいわきオールの安全配慮義務違反、及び前社長夫妻の注意義務違反によって猪狩忠昭さんが死亡した事実を明確に認定した。そして忠昭さんに毎月百時間の残業を課して過労死させた披告三者が連帯して、原告(妻・長男・長女)に対し約二五〇〇万円の慰謝料を支払うよう命じた。その一方裁判所は、元請け宇徳に対しては、責任なしと判示した。裁判所に対して元受けや親会社の不法行為責任を認定させることは全国の労働者の共通課題である。

 判決を受けて被告三者が忠昭さんと遺族に率直に謝罪の意を表するとともに、慰謝料が支払われることとなった。遺族の闘いを支援してこられた全国の皆様方に感謝いたします。


元社長は
遺族に謝罪

 裁判は、第二事案として「第一原発救急医療体制の不備」があり、東電と宇徳が十分な救急医療体制を講じていなかった責任を問うものである。

また。第三事案として「東電記者会見における労災否定発言」があり、東電の責任逃れを問題にした。裁判所はこれら第二、第三事案については請求を退けた。特に、第二事案においては事実認定に明確な誤りかあり、さらに判断理由を示さないで原告側の主張を排除した理由不備の箇所もいくつかある。

 遺族は第二事案について地裁判決の取り消しを求め仙台高裁に控訴した。東電と宇徳に対する闘いを断固継続する!

(東北全労協幹事星野憲太郎)