河井公選法違反事件 強まる議員辞職の声 / 全労協新聞 2020年9月号

河井公選法違反事件 強まる議員辞職の声 / 全労協新聞 2020年9月号

 


 

池上文夫常任幹事(広島県労協)


河井公選法違反事件
強まる議員辞職の声


 昨年七月の参議院選挙で、広島県内の複数の首長や議員らに総額二九〇〇万円余の現金を配ったとして、東京地検特捜部に逮捕された公選法違反事件は、河井克行前法相・河井安里参議院議員議員辞職を求める声の高まりと安倍自民党政治への不信の増大をもたらし、さらに現金を受け取ったとする自治体首長や議員などへの説明責任と辞職を求める動きが関係議会・市民に広がりを見せている。

 報道によれば、河井夫妻が広島県内の首長・議員、政界関係者や有力者ら延ペ一○八人に対して票の取りまとめを依頼し、計二九〇〇万円余の現金を渡したことが明らかにされている。

 この原資は、自民党本部から河井夫婦への政党支部に対して行われた一億五〇〇〇万円の選挙資金ではないかとされ、同じ自民党の公認候補の溝手顕正氏の十倍の金額であったことが問題とされているが、地元では溝手氏に対する安倍首相の個人的感情による溝手落としの動きであったのではないかとの憶測も飛んでいる。

 県内自治体における県議・市議・町議本人が現金の授受を認めている数は、マスコミ報道によれば四十人近いと言われている。

 戦後民主主義下における選挙で「被買収」が九四人ともいわれ、それも首長・議員など公職に就く有力者が公選法違反事件に絡む、まさに「疑獄事件」は、これまでに安芸太田町三原市安芸高田市の三市町の首長が河井克行前法相からの現金授受を認め辞職している。

 これらの自治体では、新型コロナウイルス感染症の蔓延防止対策など、行政停滞の一刻の猶予も許せないことから、首長選挙を終え通常の業務についている。

 さらに県議・市議・町議などの辞職もあり、関係する議会では議員辞職を求める「議員辞職勧告決議」の動きかある一方で、現金を授受した議員本人の説明責任を求める動きも議会内や市民の間で広がってきている。