京都総評/ 最低賃金の大幅な引き上げと 中小企業支援策の抜本的な改善を求める 要請書

 

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2020年5月 28 日

 

京都労働局局長
金刺 義行 様


京都地方労働組合総評議会
議長 梶川 憲

 

最低賃金の大幅な引き上げと

中小企業支援策の抜本的な改善を求める

要請書

 

私ども働く者の権利向上に向けた日ごろのご活躍に敬意を表します。


さて、新型コロナウイルス感染対策での行動自粛等による経済活動の停滞は、個人消費
の落ち込みで景気後退局面に入っていた日本の経済をより深刻な状況にしています。感染拡大をさせない 手立てとともに、 生活と営業などに対する手厚い補償が 不可欠です。


この間のコロナ対策を通じて、雇用調整助成金の上限額 を 15,000 円に引き上げること
が第 2 次補正予算に組み込まれるなど、 労働者の生活を補償するには、それぐらいの水準が求められるということが浮き彫りになりました。


私ども京都総評の調査( 最低生計費試算調査 2019 年度実施)でも 、 20 代単身者が京都で普通に暮らすために時間額で 1,600 円以上、 30 代子育て世帯で月 48 万円必要だという調査結果が話題になりました。日弁連でも与野党内でも、「全国一律最低賃金制」が 必要との共通認識がひろがりました。

 

労働者の暮らしはもとより、地域経済の再生を考えても、本来ナショナルミニマムの基
軸である 最低賃金が低すぎることが大きな問題です 。今こそ最低賃金を大幅に引き上げ、地域間の格差をなくし全国一律の制度とすることが求められています。 そのためには、コロナ危機で大きなダメージを受けた中小企業が引き上げられた最低賃金を支払うことができる環境を整える ことが鍵となっています。政府の責任において、コロナ対策に加え、 真に効果的で直接的な 恒常的支援策の創設を求めていくことが不可欠です。


今年の最低賃金の改善へむけた審議にあたって、貴職の積極的な役割発揮をお願いするものです。

 

 

1、最低賃金が各種国民生活の基盤を支えている実態を踏まえ、今年度の引上げに向けた積極的な審議を行うこと こと


2、最低賃金の引き上げにあたって、以下の点を政府に上申するとともに、京都での審議
にあたっても 資料提示と、 実態を反映させた 審議を進められたい


(1)最低賃金の大幅な引き上げを行い、時間額 1,500 円を目指すとともに、速やか
に 1,000 円への引き上げをおこなうこと。


(2) 中小企業への支援策として 、諸外国の例を参考に、 真に効果的で直接的な恒常的支援策の創設を求めること。

 

(3)現行目安制度の下で、最低賃金額の地域間格差が拡大し、人口流出などの問題が顕在化している。最低賃金額を大幅に引き上げながら、格差の是正に努め、全国一律の制度とすること。

 

(4)平均的な労働者の賃金額との比較で低すぎる最低賃金を引き上げ、底上げを図るとともに、格差の是正に資するものとすること。その際、京都総評の「最低生計費試算調査」(2018 年)結果を参考とし、京都府内4,800 人からの調査結果を尊重すること。

 

(5)生活保護との比較試算については、実際の生活保護の運用と同じ条件にもとづいた比較試算を提示するため、①生活扶助費については、人口加重平均ではなく、県庁所在地の扶助費を採用すること。②勤労控除を算出すること。③住宅扶助は特別基準を採用すること。④時間換算にあたっては、所定内労働時間の実態から月150 時間とすること。といった改善を行うこと。

 

(6) 生活保護基準を、日本国憲法25 条並びに生活保護法第3 条の趣旨に添うよう引き上げること。

 

3、最低賃金法第25 条6 項にもとづく関係者の意見聴取をかならずおこなうこと。

 

4、審議会の公開を全面的におこなうこと。専門部会についても同様の措置をとるととも
に、少なくとも議事録について、詳細を記録し公開すること。

 

5、最低賃金審議会委員の任命にあたっては、公正な任命を行うこと。

 

6、最低賃金の周知徹底と違反摘発を積極的におこなうこと。


以上

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