全労協/ 全労協第31回大会に向け / 新聞 2019年9月号

全労協全労協第31回大会に向け / 新聞 2019年9月号

 

 

全労協第31回大会に向け

新たな仲間と大きな隊列で
日本労働運動を支えよう

渡邉 洋 全国労働組合連絡協議会 議長

 

「分裂」から「共闘」ヘ


 全労協は、今年、結成三〇周年という節目を迎える。九月二十九~三十日に開催される定期大会では、併せて三〇周年記念レセプションを開催する。レセプションも含めてこの二日間の中で三〇年間の歩みを総括し、新たな方向性を確認していくことになる。大会の成功はもちろん、レセプションにも多くの組合員にご参加いただき、全労協の新たなスタートを実り多きものにできることを願ってやまない。

 東西冷戦終結新自由主義経済の席巻、国内ではバブル崩壊という激動の中でスタートした三〇年前の労働戦線再編は、残念ながらナショナルセンターの統一に向かうのではなく、選別・排除の論理の中で新たな分裂へと向かうこととなった。全労協は、そうした分裂状況に対する抵抗の協議体として誕生し、国鉄闘争を中軸に据え、地域労働運動を大切にする共闘組緞として闘いを積み重ねてきた。

 先輩たちの苦闘にもかかわらず、労働運動は総体として弱体化してきた。組織としての全労協もそうした流れに抗しきれなかった。改憲を悲願とする安倍政権の誕生と、その長期政権化、格差の拡大と貧困の固定化、閉塞感の中でのヘイトクライムの蔓延など、日本の戦後民主主義が劣化するのを止めることかできなかった。

 それでも、闘う労働組合、まともな労働組合の結集体は、いっそうその必要性を増している。民主主義に関わる様々な課題で、広範な市民運動と柔軟に共闘できる労働組合組織が求められている。反目し合うナショナルセンターを説き伏せて、労働組合全体が足並みを揃えるのは、全労協の奮闘なしにはあり得ない。

 全労協が、新たな仲間を発掘し、スクラムを組み、より大きな隊列を形成して日本労働運動の一翼をがっちりと支えていくことが、今問われている。


国際連帯を
より強固に


 八月六日の広島平和祈念式典で、松井一実広島市長は、自国第一主義の台頭が、国家間の排他的、対立的な動きが緊張関係を高め、核兵器廃絶への動きを停滞させていると述べた。この指摘は、米口中などの大国に向けられているばかりでなく、隣国との緊張を煽り続ける安倍政権にも向けられていると見なければならない。

 日本政府は、従軍慰安婦問題や徴用工への賃金未払い問題をきっかけに韓国との対立関係をつのらせ、半導体関連3品目の輸出規制措置に続き、「ホワイト国」除外を閣議決定した。まさに戦争前夜の様相を呈している。韓国では労働者市民がこれに反発、日本製品不買運動や大規模な抗議集会が起こった。逆に日本国内では、嫌韓感情が煽られ、ヘイトスピーチが拡散されつつある。安倍政権の排他的、対立的な動きが両国間の関係を損ねていることは自明だ。

 全労協は、戦前の日本企業が韓国民衆から搾取し、戦後も韓国の軍事独裁政権と手を結んで利権を拡げ、今日に至るまで多くの企業が韓国労働者の権利を侵害してきたことに着目し、日韓労働者の連帯に力を注いできた。この連帯は、日韓の政府間の関係がいかに悪化しようとも揺るがせてはならない。労働者の連帯に国境はなく、労働組合は決して自国第一主義を取ってはならないからだ。

 今日の情勢であればこそ、全労協は日韓労働者の連帯をさらに深めていく取り組みを先頭で進めて行く。同時に、日本で暮らす多くの移民労働者の基本的権利確立に向けて取り組みを進めよう。

 

まやかしの
働き方改革」拡大阻止を


 昨年の「働き方改革」一括法案を巡る攻防では、蔓延する長時間労働の是正や均等待遇の実現といった一見耳障りの良いお題目の一方で、生産性の向上という財界の本音を体現した政府案の矛盾が明らかとなった。裁量労働制の対象拡大では、根拠となる基礎データの誤りが明らかとなり法案から削除された。労働時間規制を根本から破壊すると言われる高度プロフェッショナル制度は導入されてしまったが、国会論戦等で問題点が明らかにされたことで、実際の制度採用にブレーキをかけさせた。

 しかし、政府は引き続き、裁量労働制の拡大への意欲を示している。また、解雇規制の緩和という財界の悲願を受けて、「解雇の金銭解決制度」が準備されている。

 最近では、雇用によらない働き方の拡大の動きか突出している。タ二タの谷田千里社長は「働き方改革=残業削原」という風潮に「疑問」を抱き、「働きたい人が思う存分働けて、適切な報酬を受け取れる制度をつくりたい」との発想から、「社員の個人事業主化」を導入したという。

 しかし、こうした動きは、「労働者が人たるに値する生活を営むための必要を充たすべきもの」として労働条件を定める労働基準法に完全に背を向けた脱法行為と言わざるを得ない。拡大しつつある「雇用類似」の労働者の権利確立を目指し、まやかしの「働き方改革」策動を阻止すべく奮闘しよう。


山積する課題に
臆することなく

 安倍政権が長期化する中、参議院選挙で自民が議席を減らしたとはいえ、改憲に向けた動きは続けられている。沖縄県民の民意を無視した辺野古基地建設も止まる気配を見せない。福島原発事故が収束に向かう気配を示すことないまま、全国で原発再稼働の動きが強められている。福島で危険で過酷な作業に従事する労働者や、故郷を追われた避難民の問題は置き去りにされている。

 全日建運輸連帯労組関生支部に対する執拗な刑事弾圧は、闘う労働運動全体に対する攻撃だ。全国一律最賃「どこでも一、五〇〇円」を求める運動は一定の広がりを見せているが、成果は不十分であり。

 「一律最賃が地方経済を破壊する」というキャンペーンも強められている。非正規労働者の労働条件は均等待遇にはほど遠く、公務公共サーピスの民間への切り売りや、公務での非正規問題=官製ワーキンクプア問題も重要な課題だ。

 これらの課題に全力で取り組んでいかなければならないか、今の全労協だけで十分に取り組んでいけるわけではない。他の労組、労働団体、市民団体との連携をさらに追求し、より力強い戦線を形成し、新たな十年に挑んでいこう。

 

 

 

全労協第31回定期大会


日時
9月29日(日)13時30分開場
       14時開会
  30日(月)12時閉会

会場
大田区産業プラザPio
コンベンションホール(梅)
東京都大田区南蒲田I-20-20
TEL03(3733)0066
京浜急行京急蒲田」駅下車3分

 

全労協結成30周年
記念レセプション

日時
9月29日(日)18時

会場
大田区産業プラザP・lo
コンベンションホール(鶯)

 

 

新事務所の案内

 8月24日、全労協事務所を移転しました。

新住所〒105-0004
東京都港区新橋4-21-7
  つるや加藤ビル4階B

TEL 03(5403)1650
FAX 03(5403)1653
(どちらも変更はありません)